「I Give It a Year」鑑賞


イギリス人が乳繰り合うラブコメディを作ってはや20年(エドガー・ライトの作品とかも作ってはいますが)のワーキング・タイトル社が送る新たなラブコメ。

ナットとジョッシュのカップルは出会ってからすぐに恋に落ち、短期間で結婚にまで辿り着く。しかし2人の相性が微妙に合っていないのは周囲も認めるところであり、口の悪い友人には「2人の結婚はもって1年ね」と言われる次第。そしてその予見は現実のものとなり、2人の結婚生活は9ヶ月目に暗唱に乗り上げてしまう。それでも1年はどうにかもたせようと2人はカウンセラーのところに通ったりして努力するものの、ジョッシュの前には昔の彼女が現われ、さらにナットは金持ちの若社長に口説かれてしまう…というストーリー。

まあ「ラブ・アクチュアリー」的な、害のないジョークとホンワカとした展開が続くラブストーリーではあるのですが、主人公ふたりの食い違いがテーマになってるせいか、なんかしっくりこない内容になっていたような?恋愛のリアリティというかエグさをワーキング・タイトル作品に求めるわけではないですが、ナットへの若社長の迫り方なんてパワハラものだし、各キャラクターの描き方がみんな薄っぺらかったような。

それでもまあフィールグッドなオチに落ち着けばいいかなと思ってたのですが、最後はなんと(完全なネタバレなので白文字にします)『2人は結婚1周年のパーティーで「やっぱ俺ら合わないね」と離婚し、ジョッシュは元カノと、ナットは若社長とお互いの前で結ばれる!』いやーそれはないんじゃないの。奇をてらうにしても話の落としどころってものがあるだろうに。結婚してる人が観てもあれは納得いかないと思う。

ナットを演じるのがローズ・バーンでジョッシュ役がレイフ・スポール。おれレイフ・スポールってすごく無味乾燥なイメージがあって好きではないのですが、彼のどこらへんが魅力的なのでしょうか。親父と違ってイケメンになってしまったのが残念なところだな。ジョークをひたすら外す友人にスティーブン・マーチャント、結婚に飽きたシニカルな主婦にミニー・ドライバー、その鈍感な夫にジェイソン・フレイミング、ストーカーっぽい元彼女にアナ・ファリス、底の浅い若社長に相変わらず底の浅い演技しかできないサイモン・ベイカーと、脇役のキャスティングは完璧なだけに主人公ふたりの特徴のなさが惜しまれる。

恋愛下手の俺が言うのも何ですが、何か結婚というものをナメてるのではないと思った作品。もうちょっと世間体というものを気にしましょうよ。