「ゴジラ」鑑賞


これもアメリカで観てきたので、ネタバレにならぬよう感想をざっと。なお俺自身は昭和版のゴジラやガメラ作品はそれなりに観ていたけど、84年の「ゴジラ」を最後にそれ以降のものは観ておりませぬ。

・まず何よりも「人智を超えた存在」かつ「正義の味方」であるゴジラの描写が巧みなバランスで描かれていたと思う。

・もうご存知の方も多いかとは思いますが、ゴジラ以外の怪獣が劇中では登場するわけで、それらを悪役にすることでゴジラを(いちおう)人間の側に立たせることができているわけなんですね。

・話の後半になるまでゴジラがまっとうに姿を見せない演出は賛否両論あるみたいだけど、ベタに出まくるよりも良いんじゃないですか。むしろゴジラの全貌をなかなか見せないことで臨場感を高めている。

・そしてゴジラに多くの「決め」のシーンを与えてるあたり、監督は分かってんなあと。放射能火焔を吐く前に、暗闇のなかで青く光る背びれが映ったときはゾクゾクしましたね。

・「人間 VS 怪獣」のスタンスをとっていたエメリッヒ版「ゴジラ」に対し、こちらの怪獣たちは自然の猛威の象徴であり、人間たちはその猛威を目前にしてうろたえることしかできない。とはいえ人間の視点からとらえた怪獣映画に徹していたし、父と子の絆とか、家族のもとに帰ろうとする兵士の物語などがうまく織り込まれていた(「Xメン」に比べるとかなり単純な描写であることは否めないが)。

・日本の描写は確かにツッコミどころも多いんだけど、そしたらネバダとかハワイの描写も変らしいので、そこをとやかく言うのはやめましょう。ブライアン・クランストンも日本語がんばってます。しかし「ジャンジラ」って何が由来なんだろう。

・明らかに東北の震災をモデルにした津波や原発事故の描写があるものの、放射能はメタファーでも何でもなく、もろに話のプロットの中心となってます。だから「怪獣は放射能の脅威の象徴であり…」などと語るのは野暮かと。最後にXXXしたのはアメリカンだなーと思いましたが。

・日本映画には比類なき予算とプロセスをかけ、過去の作品にもきちんと敬意を払って作られた作品であり、こういうの作られると日本で「ゴジラ」作るのは相当難しくなるんじゃないかと。とはいえ映画館から出てきた直後に、ああして欲しかった、こうして欲しかったと思ってしまうわけで、まあ数十年の思い入れを1つの映画ですべて解消するのは無理でしょう。続編の製作もさっそく決まったらしいので、次は佐原健二とM宇宙ハンター星雲人の登場を希望します。

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