「SUPERHEROES」鑑賞


前からちょっと観たかったHBO製作のドキュメンタリー。

いわゆる『キック・アス』的な、リアルにスーパーヒーローの格好をして犯罪と戦う人たちを追ったもので、サンディエゴやブルックリン、はてはバンクーバーと北米各地で活動する、『マスター・レジェンド』や『ミスター・エクストリーム』といった人々を紹介している。おそらく世間的にいちばん有名なヒーローであるシアトルのフェニックス・ジョーンズは登場していなかった。

もちろんタイトルとは裏腹に誰もスーパーパワーなんて持ってなくて、格闘技を習ったりプロテクターを着けたりスタンガンを持ったりして夜のパトロールへと彼らは出かけていく。彼らがヒーローになった動機はおおまかに2つあって、崩壊家庭の出身で学校でもイジめられており、その反動でヒーローになったというのと、困っている人たちを見過ごすことができずに社会貢献のためヒーローになったというもの。「ウォッチメン」でも言及されていたキティ・ジェノヴィーズ事件を動機に挙げていた人もいたな。あと「子供のときにコスチュームをまとってイジメッ子を待ち伏せし、ボコボコにした」と語る人もいるんだが、それって犯罪では…。

彼らの多くは警察や司法制度をあまり信用しておらず、自らの手で犯罪を防ごうとヒーローになったらしく、そこらへんの考えがアメリカンだなあと。とはいえ完全に法の外で活動するわけにもいかないから、犯罪を目撃したら警察に通報するとか、そういう関係を保っているみたい。警察側は彼らの活動をあまり好ましく思っていないものの、大目に見ている状態らしい。劇中では警察の犯罪学者へのインタビューが行なわれ、彼らが危険に身をさらしていることや、彼らが持っている武器(スタンガンや警棒などで、銃は持っていない)などに懸念が示されている。あとはスタン・リーも出てきて、「彼はケガしたりせんじゃろか…」と心配をしていた。

「俺は格闘技を習得している」と語りつつも腹をタポタポさせてたり、パトロールの合間にビールをグビグビ飲んでるヒーローを見ると、すごく頼りない気がするものの、チームを組んでホームレスに物資を配ってたりするのは偉いよね。このドキュメンタリーもそんな彼らを基本的には好意的に描いている。ただ2012年のトレイヴォン・マーティン事件(自警団を気取ったバカが17歳の黒人少年をつけまわして射殺し、しかもなぜか無罪になった)のこととかを考えると、スーパーヒーロー活動とああいう自警団活動って紙一重の違いではないかと複雑な気分になってしまうのです。

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