「ザ・レイド GOKUDO」鑑賞


邦題どうにかならなかったのか。普通に「ザ・レイド2」で良かっただろうに。11月に日本公開ということで感想を簡潔に述べます:

・すんばらしい出来。前作はアクションシーンのカメラワークが見事だったが、今回はドラマのシーンのカメラの動きも冴え、登場人物の心境などを如実に表している。演出は前作に比べて格段にあがってるのではないか。

・前作は前半が銃撃戦がメインで、爆破シーンとかでCGを使ってるのが明らかだったが、今回は全体的に銃の使用は控え目で格闘シーンが満載。敵も律儀に素手で襲いかかってきます。最初の30分はアクションが控え目だけど、あとからどんどん勢いがついてくるぞ。

・右往左往するカメラワークはどれも凄いんだけど、「走ってくる車を外から撮る → そのまま車内にカメラが入る → 車の反対側の窓から出て、その横から走ってくる車を撮る」というシーンをワンショットで撮ってるのが信じられなくて何度も観てしまった。あれ車のシートのなかにカメラマンが隠れていて、車内でカメラを手渡ししてるらしい!

・物語は前作のラストから2時間後、主人公の兄が殺されるシーンから始まる。よって兄貴の顔と、前作で誰が生き残ったのかを復習しておくとよろし。

・イコ・ウワイスと並んでギャレス・エヴァンス作品の常連であるヤヤン・ルヒアンがまた出演してるのだが、彼のキャラクターって前作で死んでるので、「あんなやられ方をした奴が復活したのか!」と驚愕したが、今回はどうも違うキャラクターらしい。ここちょっと紛らわしいね。

・建物の中が舞台だった前作と異なり、今回はジャカルタ市街が舞台で、主人公の偽名が「ユダ」で、シラットの小鎌を使ったアクションが出てくるあたりは前々作の「タイガーキッド」に似てるなと思ったんだけど、そもそも今回の脚本って「ザ・レイド」よりも前に書かれていたのか。

・ジャカルタって雪が降るのか?あと牢屋のメシがうまそう。

・主人公が潜入捜査をするジャカルタのギャング、そのライバルである日本のヤクザ、両者を対立させようとする第三勢力による三つどもえ(警察が入ると四つどもえ)の展開が繰り広げられるのだけど、説明的なセリフは徹底的に省かれてるので話が分かりにくいかも。あまり言いたくないがジャカルタの人たちってみんな顔が一緒に見えて…。

・寡黙な主人公に代わって、ギャングのボスの息子を演じるアリフィン・プトラが裏の主人公のような存在になっていて、ボンクラなようで野心と忠誠心のあいだで揺れ動く若者を見事に演じている。

・日本のヤクザさんたちはあまり登場シーンないよ。遠藤憲一の演技は良かった。

・インドネシア語なぞ当然分からないので英文字幕で観ていたが、ギャングが日本語を話すところと、松田龍平が英語を話すシーンはわざとらしくて興醒めする。アリフィン・プトラが完璧な英語を話してるだけに、松田龍平の拙さが目立ってしまうんだよな。

・トンカチガールと野球少年という「男塾」ばりのキャラクターを出しておきながら、笑いを狙ったシーンも皆無で、2時間半の尺の最初から最後までテンションを張りつめさせているところが凄い。格闘技映画の常として、あとから考えると整合性のつかないシーンもあったりするんだけど、いいんだよそんなのは!

・第3作目の製作も決まっているらしいが、その前にギャレス・エヴァンスは非アクション映画を1本撮るつもりらしい。今作で見せつけた演技力とカメラワークがあれば、普通のドラマでも立派なものが撮れるはずなので大いに期待。

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