「Space Station 76」鑑賞


低予算のSFコメディ。

舞台となるのは宇宙の片隅にある宇宙ステーション76。そこの機材はオンボロであり、住むクルーたちもストレスや退屈さなどで何かしらの問題を抱えていた。そんなとき新しいクルーとしてジェシカが派遣されてくる。最初は彼女を優しく迎えるクルーたちであったが、ステーションの暗黙のルールに気づかない彼女の言動のためクルーたちの関係はギクシャクしていき…という内容。

トレーラー観れば分かるがスタイル的には60〜70年代のSF映画のパスティーシュとなっており、サントラもトッド・ラングレンをはじめとした70年代ロックがふんだんに使われている。小道具やデザインなども細かいところまで凝っていて、外見的にはよく出来てるんですよ。ただ肝心のストーリーが…パロディとかアレゴリーになるわけでもなく、ただ気まずい展開が次々と続くだけというか。ダウナーな展開があっても「ダーク・スター」みたいに深みがあるわけでもなく、なんか脚本が稚拙だなぁ、という印象。監督がゲイだそうなのでセクシャリティに関するセリフもいろいろ出てくるのだが、どれも凡庸なものばかりだし。

監督のジョン・プロトニックってこれが初監督作品らしいが、俳優としては多くの作品に出ているらしく、そのつてによるものか出演者は比較的豪華。ジェシカ役がリヴ・タイラーで、隠れゲイの艦長を演じるのがパトリック・ウィルソン。他にもマット・ボマーやジェリー・オコンネルなんかが出ています。チョイ役で「2001年宇宙の旅」のキア・デュレラまで出してしまうサービスっぷり。逆にこれだけの役者を揃えておいてこの出来で終っているのがすごく勿体ないのだが。

せめて70年代ロックでノリノリの前半のペースを保ってくれれば、スタイルだけは楽しめる作品になれたかもしれないのに、後半は微妙にシリアスな会話劇になってしまっているのが残念であった。