「PRIDE」鑑賞

Pride
日本では「パレードへようこそ」という邦題で4月公開だそうな。

舞台は1984年のイギリス。サッチャー政権のもと各地の炭鉱は次々と閉鎖され、失業の危機に面した炭坑夫たちはデモやストライキで抵抗を試みていた。そのニュースを知ったゲイの活動家のマークは、「政府に迫害されている者同士が力を合わせるべきだ!」と決意して(当時は同性愛行為が違法とされていた)、レズビアンとゲイによる炭坑夫へのサポートグループを結成、寄付を募って炭坑夫に送ろうとする。しかし炭坑夫の組合は同性愛者たちと関わりになるのを嫌がったため、マークたちは炭鉱の街を直接支援することにする。そして南ウェールズのオンルウィンという小さな町を選んだ彼らは、住人たちに好奇の目で見られながらも炭坑夫たちを支援していくのだが…というストーリー。

失業の危機に対して奮闘するイギリスの労働者たちを扱った、「フル・モンティ」や「ブラス!」「リトル・ダンサー」といった一連の作品に連なるもので、あれらの映画が好きな人なら十分楽しめるんじゃないでしょうか。男女が偏見を乗り越えて団結するさまは、ベタながらもやはりスカっとするものなので。ただしオンルウィンの人たちの多くは意外とあっさりと同性愛者たちに寛容になってしまうので、結果的にはストーリーの起伏が乏しいものになっているかも。同性愛に反対知る親や住人たちとの葛藤にもう少し踏み込んでも良かったのでは。あとこういう映画にありがちなのだが、ゲイの人たちがやたら素晴らしく描かれているんだよな。地元のボンクラがゲイのように踊ったら女の子にモテモテになった、というのはちょっと安直すぎるだろう。

出演者はビル・ナイやイメルダ・スタントン、ドミニク・ウェスト、パディ・コンシダイン、アンドリュー・スコットといった錚々たるイギリス(とアイルランド)の役者たちが顔を揃えていて、手堅い演技を見せてくれている。パディ・コンシダインの出ている映画にハズレはない、というのが俺の持論であります(「シンデレラマン」は大目に見よう)。あとはFGTHやコミュナーズといった当時の音楽がふんだんに使われているよ(〆を飾るのはやはりビリー・ブラッグ)。

実際にあった話をベースにしていて、実在の人物もいろいろ出てくるのだが、まあ例によって事実と異なっている、という批判もあるみたい。あとは有色人種が出てないとか、ウェールズ人の役者が起用されてないという批判もあるらしいのだが、そこまで細かくつつかなくてもいいだろうに。普通に良い映画ですよ。