「Nemo: River of Ghosts」読了

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アラン・ムーア&ケヴィン・オニールの『リーグ・オブ・エクストラオーディナリー・ジェントルメン』外伝第3巻にして「ネモ」シリーズの最終章。いちおうネタバレ注意。

舞台は1975年。女海賊として恐れられたジャンニ・ダカールも年齢には勝てず、耄碌して過去の父親や夫たちの幻影を目にしているのではないかと周囲には疑われていた。そんななか、彼女が前巻で壊滅させたトメニア(いわゆるナチスドイツな)の残党たちが南米に潜んでおり、さらには彼女が殺したはずの女王アッシャが目撃されたとの話を聞いた彼女は、娘の警告も聞かずに部下たちを連れて漆黒のノーチラス号を駆り、アマゾンの密林の奥へと向かうが、そこで彼女が目にしたものは…という展開。

今回は南米が舞台ということで、アマゾンの半魚人!失われた世界!ブラジルから来た少年!などといった南米ネタが盛り込まれています。あとは「ステップフォードの妻たち」とか。ヴィンセント・プライス主演のコメディ映画なども元ネタになってるようで。そこらへんは例によってジェス・ネヴィンズ氏が注釈用のウェブサイトをつくっていろいろ説明してくれています。

ジャンニ側の新キャラとしてはヒューゴー・ヘラクレスという怪力キャラが登場して、なんか20世紀初頭に新聞で5ヶ月だけ連載されてたという超マイナーなキャラクターらしいのですが、英「ダンディ」誌のデスパレート・ダンの父親であることが示唆されてたりして、ムーアは相変わらず人のオモチャでいろいろ遊んでんなあと。ただしヒューゴー・ヘラクレスがチート的に強すぎるのと、主人公たちが奇襲をかける側であるため、話のスリルは前巻ほどではないかな。

あとは前巻同様に女性たちの戦いが強調されていて、「1910」で始まったジャンニの激動の物語はこれで幕を閉じることになる。また「2009」に登場したジャンニの孫の生い立ちも語られています。

なお「リーグ」の話はこれで終ったわけではなく、また新しい話が始まることをムーアがインタビューで語っていたような。外伝ではなく「ボリューム4」になるのかな?舞台がいつで、誰が主人公になるのかも全く分からないけど、コンスタントに面白い作品なのでまた近いうちに新刊がでることに期待したいところです。