「While We’re Young」鑑賞

While We_re Young
ノア・バームバックの新作。主演がベン・スティラーで音楽がジェームズ・マーフィーということで、2つ前の作品「Greenberg」に通じるものがあるかな?

44歳のジョッシュは大成できないドキュメンタリー作家で、難解なドキュメンタリーを何年にも渡って撮影しているものの終わりが見えず、資金も底をつきかけていた。そんなとき講師をしている大学で、授業を公聴していたジェイミーという25歳の若者と知り合う。自分の作品のファンだという彼にジョッシュは好感を抱き、さらにジェイミーとその妻のダービーのクールな生活(イカした服装をまとい、家具や料理を手作りし、広いアパートに住んでLPレコードを何枚も持っている)に憧れたジョッシュは妻のコーネリアを巻き込んで夫婦同士の付き合いを始める。やがてジョッシュはジェイミーが撮影するというドキュメンタリーの手助けもするようになるのだが、自分と違って万事がうまくいっている彼の生活を妬むようになり…というあらすじ。

要するにジェネレーションギャップを題材にしたもので、自分より成功している若者が現れたらどう対応すべきか?というのが大きなテーマであり、冒頭に引用されてるイブセンの言葉がすべてを語っているかな。自分の気力や体力の衰えを感じているジョッシュの若者に対する憧れが話の軸になっているわけだが、一方でコーネリアは流産を経験していて子供が産めない体になっており、同世代のママ友たちのライフスタイルについていけないこととか(やはりそういうものなの?)、著名なドキュメンタリー作家であるコーネリアの父親とジョッシュの不仲という3つの世代(赤ちゃんを入れれば4つか)のギャップを描いていたりもする。後半ではジェイミーたちも実はクセ者であることが判明して、最後は「ドキュメンタリーとは何か?」という映画作家好みのテーマも絡んでくるわけだが、そこはストレートに「成功している若者への対応」に徹したほうが良かっただろう。

ジョッシュを演じるのがベン・スティラーで、劣等感に苛まれる彼を好演している。妻のコーネリアはグレタ・ガーウィグ…ではなくてナオミ・ワッツ。相変わらず薄幸そうな人妻を演じてます。ジェイミーとダービーの夫妻はアダム・ドライバーとアマンダ・セイフレイド。ジョッシュたちの友人をビースティ・ボーイズのアダム・ホロヴィッツが演じていて、とても良い感じ。あとなぜかピーター・ポール&マリーの人も出演してます。

おれ自身は年齢がほぼジョッシュと同じなわけですが、あまり彼の葛藤に共感を覚えることはできなかったかな。これは自分が独身だということよりも、いまの日本で「クールに暮らしてる25歳」というのをまず見かけないからだろう。上の世代の負の遺産に喘いでいるような世代だものねえ。よって有望な若者をたまに見かけると、妬むよりも素直に応援したくなるのだが、それはおれが多くの若者に会ってないだけでしょうか。

まあ共感できるかどうかは別として、バームバックの作品のなかでもかなりとっつきやすいドラメディになっており(興行的にも彼の作品でいちばん成功したらしい)、カジュアルに観て楽しめる良い作品ですよ。

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