「BLACK DOSSIER」読書メモ その6

今回でとりあえず終わり。最後の部分だけあってネタバレ的要素が多いので注意。

・「黒本」を読み終えたミナとクォーターメインはそのままロケットに乗ってスコットランドの目的地へ向かう予定だったが、ロケットに着陸機能が無かったため命からがらパラシュートで脱出することに。それを追ってすぐに駆けつけるボンドたち。捕まる寸前だったミナたちを救ったのは意外なキャラクターだった。
・このキャラクターが誰なのかはここで書かないが、それなりに議論の的になりそうなキャラクターであることは間違いない。彼を登場させたムーアの意図は?
・ダウンしたボンドとエマ・ピールに代わってミナたちの後を追うブルドッグ・ドラモンド。ここでまた一悶着あって隠された事実が明らかになりますが、詳細はここでは書きません。
・無事ボンドたちから逃れたエマたち一行は、気球に乗って彼らの本拠地「ブレイジング・ワールド」へ向かいます。この「ブレイジング・ワールド」は色彩と空間がラリリまくった不思議な世界で、絵はすべて赤と青の3D処理がされているためきちんと読み進むには本の付録である3Dメガネが必要となります。ちなみに3D処理はかなり凝っていて、赤と青のどちらか片方で見ると姿がまるで異なるキャラクターがいるなど、従来の3Dコミックよりもずっと奥の深いものになっている。
・「ブレイジング・ワールド」に降り立ったミナたちはオーランドーと再会。ここからの展開は加速的にラリっていきます。しばらく辺りを歩いた彼女たちはプロスペローに遭遇。彼に「黒本」を渡して任務完了となるのでした。
・最後はプロスペローがこれまた難しい大演説を行って終了。うーん、こういう終わり方でいいんだろうか。「Black Dossier」、最初から最後まで常識を逸脱したコミックであった。読み応えがあったのは間違いないけどね。

ちなみに「リーグ・オブ・エクストラオーディナリー・ジェントルメン」の冒険はこれで終わりではないぞ。次は「Century」という3巻シリーズが刊行予定で、それぞれ1910年、1968年、2008年を舞台に「リーグ」の活躍が描かれるそうな。いま判明しているあらすじをざっと紹介すると:

第1巻 1910年
舞台はロンドン。ハレー彗星が夜空に浮かぶなか、謎めいたオカルト教団がムーンチャイルドをこの世にもたらそうとしていた。その一方では19世紀末の殺人鬼が再び登場し、再び人を殺し始める...。恐らくこの頃の「リーグ」のメンバーはカーナッキやオーランドーなどで、「黒本」に書かれていた冒険も描かれるのでは?殺人鬼というのは切り裂きジャックのことだろうが、ここでもその正体はウィリアム・ガルなんだろうか?

第2巻 1968年
サイケデリック・ブームに沸くロンドン。その裏ではギャングたちとオカルト集団が手を組もうとしていた。ここでもムーンチャイルドの出現を防ぐため、ミナ率いる新生「リーグ」が出動する…。「リーグ」のメンバーは誰になるか不明だが、3〜4人程度になるらしい。ジェリー・コーネリアスが登場するらしいが、「リーグ」の一員になるのかも分からない。

第3巻 2008年
世界は破滅に近づいていた。「リーグ」はもはや存在せず、ムーンチャイルドはついに生まれ、その恐るべき宿命を全うしようとしていた。中東では戦争が続き、カシミールでは原爆を搭載した潜水艦を操るシーク教徒が原爆戦争の引き金を引こうとしている。そしてロンドンの精神病院には、全ての答えを知っていると主張する女性患者が収容されていた…。

あらすじだけでも非常に興味をそそられるんだが、ムーアによるとこの3巻のテーマは現実の歴史に即した「文明の堕落」であり、とってもとっても暗い内容のものになるらしい。「ミラクルマン」の終盤みたいになるのかな。読んで鬱になるようなものだったらどうしよう。何にせよ早ければ今年中にも第1巻が発売される見通しなので、今から期待しておこう。