「バルカン超特急」鑑賞

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最近の駄作より往年の名作、ということでヒッチコックの「バルカン超特急」(1938)を鑑賞。

いや実に素晴らしい。90分ちょっとの長さにサスペンスやコメディやロマンスががぎっしり詰まっていて、「娯楽作」という言葉がぴったりの作品。「列車の中で失踪した婦人」というプロットを軸に、限られたスペースのなかで展開していく物語は今観ても十分にスリルが味わえる。むしろ最近の映画よりもずっとセリフがウィットに富んでいて、いかに最近の映画がバカ向けに作られてるかがよく分かる。冒頭のホテルにおける各キャラクターの紹介も巧い。そして主演のマーガレット・ロックウッドの美しいこと!心優しいアメリカのお嬢さん、という役が本当に似合っている。何度でも繰り返し書くが、ああいう女優はハリウッドでは絶滅してしまいましたね。最近のリハブなセレブたちが絶対に出せない雰囲気を醸し出してるのでありますよ。

このように手堅いプロットを誇る傑作だが、ラストの「乗客に銃をつきつける男」がどこに行ってしまったのかはよく分かんなかった。彼が急にいなくなったのはネット上でもいろいろ推測されてるらしい。まあいいや。ちなみに邦題の「バルカン」も「超特急」も実は出てこなかったりする。

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