「断絶」鑑賞

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アメリカン・ニューシネマの隠れた名作として知られる(らしい)、モンテ・ヘルマン監督の「断絶」(1971)を鑑賞。

物語としての情報を、最低限のもの以外は徹底的に切り落とした虚無的なロードムービーで、登場人物たちにも名前が与えられておらず、クレジット上ではただ「運転手」とか「メカニック」などと表記されるのみ。彼らの経歴や年齢などについても一切説明はなく、ただロードレース、および路上を走ることだけにとりつかれた男たちの姿を追っている。英語でいえば「zen-like」な作品ということになるのかな。

運転手とメカニックが東海岸を目指してチューンアップしたシェビーを走らせ、途中で家出少女を乗せてやり、それからウォーレン・オーツ演じるGTO乗り(その名もずばり「GTO」!)とお互いの車を賭けてワシントンDCまでのレースをするというプロットはあるんだが、じゃあ血湧き肉踊るレースが展開されるのかというとそうでもなく、両者(両車?)のあいだには微妙な仲間意識が生じて互いに手を貸してやるようなことになったりもする。要するに運転手もGTOも路上を走ることにだけ生き甲斐を感じており、レースはその一環でしかないのだ。

運転手を演じるのは若き日のジェームズ・テイラー。今じゃハゲの穏健そうなシンガー・ソングライターとして知られる彼だが、この頃は長髪にタイトなジーンズが似合っていて非常にカッコいい。メカニックを演じるのはビーチ・ボーイズのデニス・ウィルソン。若くて熱意をもった彼らに対して、オーツが演じるGTOはいい年になっても車上生活をやめることができず、ヒッチハイカーは必ず乗せてやって自分の身の上話を聞かせるという孤独さが出ているのが興味深い。しかもその身の上話は毎回すべてウソなので、結局のところ彼が何者なのかはまるで分からないのだ。あとハリー・ディーン・スタントンのオヤジもちょこっと出演してるぞ。

視聴者に与えられる情報が徹底的に少ないので、観る人を選ぶ作品であることは間違いない。話の展開はそれなりにあるものの、いかんせん全てが淡々と語られていくため冗長的に感じられるところもあるんだよな。アメリカン・ニューシネマの隠れた名作だったら個人的には「グライド・イン・ブルー」のほうが遥かにお勧めだが、それでも一見の価値はある作品かと。あとヘルマン&オーツといえば、ロジャー・コーマンのもとで作った「コックファイター」をぜひ観てみたいんだよなあ。

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