「レギオン」鑑賞


「LEGION」と書いてリージョンと読む。でもなぜか邦題は「レギオン」。

いちおうマーベルのコミックが原作で、原作だとリージョンことデビッド・ホーラーはプロフェッサーXの息子で多重人格障害を持ち、それぞれの人格が独自のスーパーパワーを持つという結構凄そうな能力を誇るミュータントなのだけど、やはり精神障害者という設定が災いしてか、いまいち活躍していないキャラクターなんだよな(昨年あたりマーベルから出てたシリーズは悪くなかったけど)。

でもこの番組についてそんなことはどうでもよくて、重要なのはTVシリーズ版「ファーゴ」を作ったノア・ホーリーによる新番組だということ。「ファーゴ」でも空飛ぶ円盤が登場して話が暴走しつつも、あくまでもノワールの枠に収まっていたが、こっちはSFテイストの作品ということでストーリーが自在に吹っ飛んでいます。

主人公のデビッドは幼少の頃こそ優秀な少年だったものの、青年になったときに多数の人の声が頭のなかで聞こえるようになり、精神に異常をきたして自殺未遂を行い、精神病院へと送り込まれる。そこで彼はシドニーという少女に出会い、二人は恋に落ちる。しかしシドニーは退院することになり、別れることを望まなかったデビッドが衝動的に彼女にキスをすると、なんと二人の精神は入れ替わってしまう。こうして彼女に替わって病院を出て、体も元に戻ったデビッドだったが、今度は謎の男たちに誘拐され、「世界で最も強力なミュータント」として奇妙な尋問を受けることになる…といったあらすじ。

話の流れが錯綜していて、フラッシュバックが多用されて時系列が乱れているほか、デビッド自身が信用ならない語り手であること、そしてそもそも何が現実で何が虚構なのか?という線が曖昧なため、なかなか複雑な内容になっております。でも決して意味不明で退屈になることはなく、ビジュアルも刺激的だし話の展開も速くて飽きさせない。初期のクローネンバーグというか、70年代のSF映画みたいな雰囲気がいいな。

いちおう話の舞台は現代のようだけど、携帯電話などのガジェットは登場せず、人々の服装も「ファーゴ」シーズン2のようにレトロ気味で、時代錯誤の雰囲気を醸し出している。初期のクローネンバーグというか、70年代のSF映画っぽいというか。流れる曲もザ・フーとかストーンズの60’sロックだし、シドニーの名前がシドニー・バレットだというのはピンク・フロイドへのオマージュですね。

デビッドを演じるのはイギリス出身のダン・スティーブンス。青年かと思いきや30代半ばなんですね。シドニー役のレイチェル・ケラーは「ファーゴ」シーズン2にも出てたな。あとはデビッドの病院仲間をオーブリー・プラザが演じていて、安定のメンタルっぷり。第1話にはハミッシュ・リンクレーターがゲスト出演していた。

クレジットにはクリス・クレアモントやビル・シェンキビッチをはじめとするコミック関係者の名前が並んでいるし、話の最後には他のミュータントたちが出てくるので「Xメン」っぽいところもあるのだけど、コミックが原案のキャラクターは今のところデビッドだけかな?彼が幻視する悪魔のような太った男はシャドウ・キングか?

今後の展開がどうなるかは全くわかりませんが、アメリカでは批評家に絶賛されているし、ノア・ホーリーの作品ということで今後も見続けるつもり。日本でももう放送始まってるので観ましょう。

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