今年前半に高い評価を得ていたオーストラリアのサスペンス映画。ケイト・ブッシュの同名アルバムとは全く関係なし。

舞台は1987年のパース。両親が離婚したティーンの少女ヴィッキーは、母親に黙ってパーティーに向かう途中、マリファナを買わないかとジョンとエヴリンというカップルに声をかけられる。実はジョンとエヴリンは少女を誘って監禁し、虐待を加えたのちに殺害するシリアルキラーの夫婦で、ヴィッキーも彼らに勧められた酒を飲んで昏倒し、ベッドに鎖で繋ぎとめられてしまう…というあらすじ。

そんでもってヴィッキーを探そうとする母親の姿とあわせて、いろいろしんどいシーンが続くわけですが、エクスプロイテーション的な内容にはなっておらず、どちらかというと心理サスペンスのような出来になっている。ヴィッキーを虐待するジョンも外に出ればチンピラから借金の返済を迫られる小男であり、エヴリンはジョンに精神的な依存状態で彼に逆らえず、ジョンとヴィッキーの関係に嫉妬してしまうほどの女性として描かれている。話はジョンとエヴリンとヴィッキーの微妙な関係を軸に進んで行くわけだが、心理戦という内容ではなかったな。

どうもジョンとエヴリンは80年代のオーストラリアに実在したシリアルキラーの夫婦をモデルにしているらしいが、どこまで彼らの犯行と似てるのかはよく分かりません。

この映画の前にも、ベルリンでバックパッカーの女性がシリアルキラーに長期間監禁される「Berlin Syndrome」という映画をたまたま観ておりまして、なんか女性が誘拐される映画って流行ってるのか(監督はどちらもオーストラリア人)?「Berlin」のほうは女性がストックホルム症候群の一歩手前まで行くような、よりアートシネマっぽい出来だったな。どちらの映画も似たような事件が実際に起きてるので「なぜ少女は○○を使って逃げなかったのか」といったツッコミをするのは野暮でしょう。ただどちらの映画も女性が負けずに戦い抜く、という内容では必ずしもないし、観た後になんか悶々とした気持ちだけが残る内容でありました。デートとかでは観に行かないほうが良いかと。

この「HOUNDS OF LOVE」の監督のベン・ヤングってこれが監督デビュー作で、女性が監禁される映画を最初に撮ってるとことか、話のラストにジョイ・ディビジョンの「アトモスフィア」を持ってくるあたりに中二病的な闇を感じますが、全体的な演出は非常に手堅く、「Berlin Syndrome」よりもこちらのほうが高評価だったのも頷ける。次はマイケル・ペーニャ主演のSF映画を監督するらしい。

まあ観た後に爽快になるような作品ではないですが、これからカルト人気を獲得していくような気がする一本。

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