「ダンケルク」鑑賞


・クリストファー・ノーラン監督作品で、それなりの予算がかかってるので大作映画であることは間違いないわけだが、登場人物の大半に名前がなかったり、無名に等しい役者を起用しているあたりはバットマン三部作や「インターステラー」に比べてもかなり実験色の強い作りだな、という印象は受けた。当初はインプロビゼーションを多用した撮影になるという話もあったようで、そう考えると隙の多い脚本もまあそういうものかなと思われてくる。

・でも陸・海・空で時系列がずれてるのは個人的には分かりづらいな、とは思いましたが。冒頭にちゃんと説明がされてるとはいえ、昼だった場面が急に夜になったりするのだもの。

・秒針が刻まれるサウンドトラックも効果的に用いられ、一刻をあらそう撤退作戦の緊迫感はとてもよく醸し出されていたと思う。とはいえやはり登場人物の設定が深堀りされないなかで先頭のシーンがずっと続くため、ノーラン作品としては短尺ながらも若干中だるみするところがあったかな。

・クレジットには大戦時に実際に救出作戦に用いられ、今回の撮影においても使用されたボートの名前が表記されてました。

・マイケル・ケインが冒頭に声だけの出演をしてるのに気付いたので、誰かほめてください。

・イギリス軍が変に美化されず、砂浜に取り残された若き兵士たちがズルをしてでも先に帰還船に乗り込もうとするところとか、フランス兵が全体的に差別されているところをちゃんと描いているのは良かった。軍事的には大失敗であった出来事だが、丸腰で撤退してきた兵士を当時の日本軍ならどう扱っただろうとか、今の日本ではどうだろう、といったことについて、どうしても考えざるを得ないのです。

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