『ジャスティス・リーグ』鑑賞


本日公開なので感想をざっと。以下はネタバレ注意。でも上のポスターでバレてるように、スーパーマンでてくるよ!もはや公然の秘密!

・個人的には大きな問題だと思ったことが2つあったので、先に挙げていく。1つは映像が相変わらずのザック・スナイダー画になっていて、グリーンスクリーンの前で撮影しているのがバレバレという点。色合いも汚くなっている。「ワンダーウーマン」だとセミッシラなんてもっと美しく撮れていたじゃん?それがここではCGの添加物だらけの映像になっていて、クオリティが明らかにダウンしていたのが残念だった。

・もう1つはダニー・エルフマンの音楽が単調かつ耳障りな点。重厚なストリングスが延々と続いて、メリハリがないのよ。自身が作曲したバートン版バットマンのテーマも流用してるんだけど、あの曲調って今回の映画には合わない気がするのよな。ダニー・エルフマンは嫌いじゃないけど、作風の引き出しが狭いのではという考えを最近抱いているのです。ハンス・ジマーのワンダーウーマンのテーマを持ってきたのは当然として、ジョン・ウィリアムスのスーパーマンのテーマを一瞬使ってたのはイイネ!と思ったけど。あと作曲家ではなく音響の仕事だろうが、ブーム・チューブの「BOOM!」とマザー・ボックスの「PING!」はもっと特徴的な音にして欲しかった。

・さらにもう1つ文句を言うと、やはり悪役のインパクトが弱い。「あのお方(Ω)」の登場を後にセーブしたうえでステッペンウルフを持ってきた戦略はよく分かるけど、やはりマイナーなヴィランという印象は拭えない。「ワンダーウーマン」もそうだったけどDCは悪役の選択が微妙すぎるような。「あのお方(Ω)」が登場するのはグリーン・ランタンのときなのかなあ。

・とまあ悪い点を先に書いたけど、実は結構楽しめる作品であったよ。各キャラクターの立ち位置がはっきりしていて、みんなチームとしてだんだん結束してきちんと活躍して、ちゃんと話が盛り上がる冒険活劇になっている。本国の批評家が叩きたくなる内容なのはわかるが、スナイダーの過去2作よりずっと優れているし、ジョス・ウィードンの「エイジ・オブ・ウルトロン」より良いんじゃないかと。

・一説によるとワーナーのCEOの直々のお達しで、DC映画としては最短の2時間という尺になったらしく、予告編で使われていた映像も本編ではカットされていた。これによってテンポが良くなったのか、はたまた説明不足になったのかはよく分かりません。いずれ長尺バージョンも出るでしょ。なおどこまでがスナイダーの手によるもので、どこからがウィードンなのかというのを詮索するのは野暮だと思うので行いません。

・出演者はやはりワンダーウーマンを演じるガル・ガドーがいちばんいい。安心した演技をしているというか。この映画の前に「ワンダーウーマン」が公開されたことでキャラクターに深みが加わったのが大きなプラスになっているな。それに対する新参者としてはフラッシュを演じるエズラ・ミラーがトリックスター的な役回りで良かったです。TV版「フラッシュ」のファンも満足出来るキャスティングではないかと。何をやっても叩かれるベンアフも思ってたより良かったし、ヘンリー・カヴィルのCG処理されたヒゲも気にならなかった。スーパーマンのコスチュームはやはりカラフルであるべきですね。

・アクアマンは威張ってる割にはあまり活躍しなくて、実はそこらへんがコミック通りでもある。海中で会話をするときにいちいち気泡に入る描写にはビックリしたけど、ソロ映画撮ってるジェームズ・ワンが「あれは僕の映画ではやらない」とか言ってるのでいちおう安心。

・おれザック・スナイダー作品ってはっきり言って嫌いだし、冒頭に書いたように彼の映像センスって残念でしかないのですが、それでも意外と楽しめる作品であった。しかし興行的には惨敗しているし、一方で「ワンダーウーマン」が大ヒットしたことを考えると、これからのDC映画って今までのスナイダー(あともしかしたらノーラン)色が弱まって、また違ったスタイルをもったものになっていくのかもしれない。そういう意味では1つのフェーズの終わりというか過渡期にある作品だし、興行成績にめげずにこれをバネにして、これからのDC映画が多様なものになっていくことに期待しましょう。

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