「I KILL GIANTS」鑑賞


ジョー・ケリー(ストーリー)とケン・ニイムラ(アート)によるイメージ・コミックスの同名作品(邦訳あり)を映画化したもの。ジョー・ケリーって90年台半ばにマーベルが破産申請でゴタゴタしてるときに作品をあれこれ執筆してた人で、なんかマーベルのイエスマンという印象があってそんなに好きではないのですが(これ偏見だろうし、デッドプールのキャラ設定に大きな貢献をしたんだろうけど)、この作品は彼のクリエイターオウンド作品で、彼の代表作といっていいんじゃないでしょうか。

小さな海辺の町に住むバーバラは、いつか町を巨人が襲ってくると信じ、彼らを撃退する罠の準備に専念している不思議な女の子。その町に引っ越してきた少女ソフィアや、学校のモレー先生などは彼女と仲良くしようとするものの、バーバラはなかなかうち解けようとしない。学校でも家庭でも孤立していくバーバラだったが、その一方で彼女のみなす「巨人の前兆」は増えていき…というあらすじ。

脚本をケリー自身が手がけているので、原作に忠実な映画化ということになるのかな。ただし眼鏡っ娘でウサギ耳をつけたバーバラは原作だともっと芯の強いタイプに描かれていたし、
ソフィアもミッドティーンくらいの少女だったけど、映画版ではバーバラはもっとファンタジー少女っぽくて、ソフィアはもっと幼い感じになっている。これ製作をクリス・コロンバスがやっていて、「ハリー・ポッター」みたいなお子様ファンタジーにしたかったのかなあ。

ただね、全体的に話がまどろっこしいのよ。周囲の善意にもかかわらずバーバラがウジウジしている描写がずっと続いて、肝心の巨人との対決についても何か拍子抜けでスッキリせず。原作の勢いがないというか、話のメリハリに欠けるのよ。最後で明らかにされるバーバラが心の葛藤を抱えている理由についても、もっと伏線を貼っといてよかったんじゃないかとか、彼女にとって巨人を倒すということは何なのかとか、もうちょっと深く描いていれば面白い作品になったと思うのだがなあ。監督のアンダース・ウォルターってこれが長編デビュー作らしく、なんか力量不足だなという感は否めない。

バーバラを演じるのはマディソン・ウルフ。ほかにイモジェン・プーツとか、ゾーイ・サルダナなど。撮影時15歳だったウルフをはじめ、役者の演技はそんなに悪くない。なんか疲れてる学校の先生役にソーイ・サルダナは似合うなあと。あと一瞬だけノエル・クラークが出ています。

もっと主人公の内面に迫った話にしていれば、いろいろ改善されたはずなのがちょっと残念な作品。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です