「顔のない眼」鑑賞

フレンチ・ホラーの古典的傑作「顔のない眼(LES YEUX SANS VISAGE)」を鑑た。交通事故によって醜い顔になってしまった娘をもとの美しい姿に戻すために、整形手術の権威である父親が若い女性たちを誘拐し、彼女たちの顔を娘に移植しようとするのだが…。といったプロットの物語。

1960年の作品だけあって惨劇描写とかはずいぶん抑えられているものの、それでも顔の皮膚をぺろっとめくるシーンなんかにはドキッとさせられる。ただし全体的にはホラーというよりも、悲しい運命に見舞われた少女の物語といった内容になっているかな。医師の娘を演じるエディット・スコブは殆どのシーンでマスクをつけていんだが、その華奢な身体と訴えるような眼をもって、いたいけな少女の姿を見事に表現している。昔の恋人のことが忘れられなくて彼に無言電話をかける場面とか、美しくもはかないラストのシーンなんかは非常に印象的。そして顔が「治った」ときの素顔の彼女が美しいのなんのって。あと「第三の男」のアリダ・ヴァリが医師の助手役で出てます。

話の展開が日本の少女マンガ(特に好美のぼるあたりのホラーもの)によく似てる感じがするんだが、それってつまりこの映画に影響を受けた作品が多分にあるということなのかもしれない。唯一の欠点はテーマ曲がいかにもおフランスしてて、明るめの曲調が話の雰囲気に合ってないことか。「サイコ」なんかは映像と音楽の融合が完璧だったんだけどね。

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