別名「Marvel’s M.O.D.O.K.」で、米HULUの新シリーズ。マーベル印のスーパーヒーローものだけどストップモーション・アニメのコメディ作品になっている。

主演はマーベル古参のヴィラン、Mental Organism Designed Only for Killing(殺害のみを目的として設計された知的生物)ことモードック。60年代にジャック・カービー御大によって創造されたキャラで、悪の科学組織A.I.M. (Advanced Idea Mechanics)のメンバーが人体実験によって超人的な知性を取得し、その知性をもってスーパーヒーローたちを長らく苦しめてきた悪役なのであります。しかしそのいかつい名前(カービーはキャラクターの命名については直球勝負の人だった)とか、でっかい頭に小さな手足がついているデザインが徐々に時代遅れになっていって、最近はコミックのほうでも面白キャラ扱いされていたような。

番組のほうはモードックのオリジンとかは明らかにされなくて、昔から科学の得意な頭でっかちの子供だった彼が、周囲に受け入れられなくて悪の道に進み、A.I.M.を設立したことになっている。A.I.M.は圧倒的な科学力を誇るものの、アイアンマンをはじめとするアベンジャーズたちには負けてばかりでついに破産し、グランブルというテック企業に身売りしてしまう。さらにモードックには妻と娘と息子がいるのだが(メキシコ系とユダヤ系のハーフ)、仕事に専念してばかりで家庭のことを気にしない夫に嫌気がさした妻に、彼は離婚をつきつけられてしまう。こうしてモードックは会社と家庭の両方を取り戻すことができるのか…というあらすじ。

映像を観ればわかるが、製作は「ROBOT CHICKEN」でおなじみのセス・グリーンのStoopid Buddyスタジオ。ストップモーションなのにカメラがブレたりピンボケしたりと映像技術はどんどん巧くなってくね、あそこ。「ROBOT CHICKEN」もジャンル映画のパロディを連発する内容で知られているけど、こちらもマーベル公式の立場を利用して次々とマーベルの小ネタが登場してくるぞ。メルターとかワールウインドといったマイナーなヴィランが出てくるほか、シニスターやアルティメイト・ナルファイヤーといった、Xメンとファンタスティック・フォーのネタも登場。パーティー好きのシーグリマイトなんて宇宙人、全く知らなかったのでオリジナルキャラかと思ったら「ヘラクレス」誌に登場した連中…ってどこまで細かいネタを出してくるんだ!

このようにオタク向けのコメディ番組とはいえ、話の筋は意外としっかりしていて、家庭と職場における立場を同時に失ったモードックが、あれこれ失敗しながらもA.I.M.を取り戻し、妻子と再び仲良くなろうと奮闘する姿がきちんと描かれている。仕事に専念していて周囲に気配りをしてこなかった中年男のペーソスが滲み出ていて、やはりダメ男が主人公の作品にはおれ弱いのよね。

モードックの声優は、最近どんな番組にも出ている気がするコメディアンのパットン・オズワルド。ギークカルチャーだけでなくマイナーな映画などにも凄い博識がある人だが、この番組ではライターやプロデューサーも務め、D級ヴィランの日常生活というユニークな視点でストーリーを語ってくれます。オズワルドはマーベルでモードックのコミックも執筆してたな。他にはソニック・ザ・ヘッジホッグことベン・シュワルツなんかも出演。

深く考えずにサクサク観られる番組なので全10話を一気に観てしまったが、続きが気になる終わり方だったのでぜひシーズン2も早々に作られることに期待します。

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