AMCの新シリーズ。「$h*! My Dad Says」とか「Don’t Trust the B—- in Apartment 23」とか、題名に放送禁止用語が入ったシリーズって当然ながら宣伝に支障があって短命に終わる印象があるのですが、まあこれはケーブル局の番組ということでジンクスから逃れられるかな。

舞台はマサチューセッツのウースター。酒とスポーツのことしか頭にない愚鈍な夫のケヴィンと、同様にアホなその家族と暮らすアリソンは、夫たちの面倒を見る生活に嫌気がさし、陰鬱な日常から抜け出そうとするのだが…というあらすじ。

番組の最大の特徴はそのスタイルにあって、家庭におけるケヴィンとその家族とのやりとりは典型的なシットコムのマルチカメラを模したスタイル(ラフトラック付き)で撮られていて、アリソンを主体にしたパートは通常のドラマのようなシングルカメラの撮影がされている。つまり家でもケヴィンがいるとことは愉快なコメディの番組になっていて、アリソンが一人になると急に暗い現実のパートが始まるというわけ。

これは「The Larry Sanders Show」みたいな劇中劇の設定ではなく、登場人物も自分たちがシットコムに出演していることを把握しているというメタな設定でもなくて、あくまでもシットコムとドラマの部分は同じ世界の話になっている。夫のケヴィンなんかはシットコム部分にしか登場しない一方で、シットコムとドラマの両方に登場するキャラクターはアリソンのほかにも何名かがいる。

これアメリカのシットコム文化で長らく使用していた「幼稚な夫とそれに我慢する妻」という夫婦像に対する風刺なんでしょうね。またタイトルから察するに、ケヴィン・ジェイムズ主演のシットコム「KEVIN CAN WAIT」へのあてこすりがあるんじゃないのか。シーズン2で人気女優を妻役に起用するために、シーズン1で別の女優が演じていた奥さんをしれっと死んだことにしたシットコムな。こないだパットン・オズワルトも「シットコムの世界でなければ『シンプソンズ』のマージはとっくにホーマーと離婚してただろう」みたいなことを言ってたし、シットコムの主婦の姿が変わるべき時期に来ているのかもしれない。

主役のアリソンを演じるのは「シッツ・クリーク」のアニー・マーフィー。俺あのシリーズあまり観てないな…あとの出演者は知らない人ばかり。「ゴッサム」のロビン・ロード・テイラーが後から登場するのかな?シットコムとドラマでの演技を難なく切り替えることができる役者さんたちは見事ですね。役者の演技や撮影のスタイルが、シットコムとドラマではいかに違うのかが学べる教材になっているかも。

第2話ではケヴィンを殺すためにアリソンが薬物を入手しようとするなど、早くも「ブレイキング・バッド」みたいな展開になるのだが、今後は明るいコメディと暗いドラマの微妙なバランスをいかに保っていけるかが成功のカギになるでしょう。

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