「BATMAN: BLACK & WHITE」鑑賞


「ウォッチメン」がなかなか好評のような、DCコミックスのモーションコミック第2弾。原作は90年代に発刊された、バットマンを主人公とした白黒のアンソロジー・シリーズで、ジョー・キューバートやリチャード・コーベン、さらには大友克洋といったトップレベルのアーティストが参加したことで人気を博したコミック。確か日本語版も出てたんじゃなかったかな。

iTunesストアでは2本15分という形で販売されており、俺のお気に入りであるブルース・ティム作の「TWO OF A KIND」を観てみる。トゥーフェイスを扱ったものとしては史上最高の作品の一つだと思うのです。「ウォッチメン」に比べるとセリフの吹き出しが出ないようになっており、声優も複数名いるほか背景の動きなども細かくなっていてよりアニメに近いクオリティになっている。ただしそれが必ずしも良い結果になっているわけではなくて、逆にコミックの良さを打ち消しているところが多いかな。原作は8ページほどの短編だけどストーリーの流れに緩急があったのに対し、こちらは5分ちょっとという尺のなかでどんどん話が進んでいくため内容を十分に楽しめない気がする。特に最後のシーンなんてもっと余韻があるべきなんだがなあ。

さらに原作はアニメーターであるブルース・ティムが、コミックならではの技法を用いたストーリーテリングをしていたのに、それに多少の動きをつけたものではティムの従来のアニメーションの出来にも遠く及ばず、コミックとしてもアニメとしても中途半端なクオリティになっている。しかしコミックとアニメの表現技法の違いを実感させてくれるという意味では興味深い作品ではあった。

ちなみにもう1話はポール・ディニ&アレックス・ロスの作品が映像化されてたんだが、ロスの絵が非常に写実的なものであるためアニメというよりも実写作品のように見えることと、俺が原作を未読であることなどからこちらは結構楽しめた。

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