「THE GRAVEYARD BOOK」読了

ニール・ゲイマンによるジュブナイル向け小説。ゲイマンの小説ってデビュー作の「ネバーウェア」が(彼のコミック作品に比べて)凡作だったのでちょっと敬遠してたんだけど、これはとても楽しめる一冊だった。

キップリングの「ジャングル・ブック」を下敷きに、悪者によって両親と姉を殺された赤ん坊が、偶然にも魔の手を逃れて墓場にたどり着き、そこに住む幽霊たちによってノーボディ・オーウェンズ(通称ボッド)と名付けられた赤ん坊は墓場で育ちながらさまざまな冒険を経験していくのでした…というのが主なプロット。各章がノーボディの成長にあわせた冒険譚になっており、ゲイマンの得意とするホラーとサスペンスとユーモアが絶妙にミックスされた文章のおかげで、読んでいてどんどん話に引き込まれていく。デイヴ・マッキーンによるイラストも数は多くないものの話の雰囲気を伝えるのに役立っている。

墓場にはいろんな時代からの幽霊が出てくるほか、魔女や狼人間や屍食鬼なども登場。その一方で「人間界」におけるノーボディ少年の冒険も描かれ、どの話も展開が速くて飽きさせない。幽霊たちの能力を身につけたノーボディと、彼の後見人であるサイラスがちょっと万能すぎるかなという気もしなくはないが、それでも最後の悪者との対決などはスリル満点の内容になっている。

児童文学の権威あるニューベリー賞を受賞したほか、ニール・ジョーダン監督で映画化も決まったとのことなので、日本でもいずれ訳書が出るだろうから多くの人に薦めたい傑作。原書も難しい英語では書かれてませんよ。

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