「クール・ワールド」鑑賞

長らく探していたDVDを偶然近場で発見。「ウィザーズ」や「フリッツ・ザ・キャット」で知られるラルフ・バクシのアニメと実写の合成映画。1992年公開。

物語の発端は1945年。軍隊帰りのフランク(ブラッド・ピット)はバイク事故に遭った衝撃で、乱痴気騒ぎを繰り広げるアニメの住人が暮らす世界「クール・ワールド」にやってきてしまう。そこで彼は刑事として暮らすことに。そして時代は現代へ移り、今度は刑務所帰りのマンガ家であるジャック(ガブリエル・バーン)がクール・ワールドに飛ばされてくる。彼は色情狂気味のアニメ少女ホリーといい仲になるが、何故かアニメのキャラと人間がセックスするとそのキャラは人間になれるという決まりがあって、これを望んだホリーはジャックとやってしまい、現実世界で人間になって騒ぎを巻き起こすことに…といった話。内容的には後発の「モンキーボーン」にとても似ていて、主人公がやってくる別世界がグロテスクなキャラクターに満ちた地獄のようなところであったり、そこから抜け出したキャラクターが騒動を起こすところなんかが共通している。

ストーリーは行き当たりばったりでクール・ワールドに関する説明なんて殆どないし、俳優たちも適当に演技してるのがミエミエ。クール・ワールドだと非常になめらかな動きをしていて、それなりに艶やかな容姿だったホリーが人間になったとたんにキム・ベイシンガー(当時39歳)へと劣化したのには萎えたなあ。二次元嫁を3次元の世界に連れてきては行けないよ、という教訓でしょうか。せっかくデビッド・ボウイが主題歌歌ってるのに、こんな駄作ではもったいないよな。

でもクール・ワールドの住人のハチャメチャぶりは凄まじくて、そこらへんはラルフ・バクシの本領発揮といったところか。ああいう悪趣味な雰囲気はまだCGアニメだと表現できないですね。これが70年代とかだったらカルト的人気を誇ったんだろうけど、90年代ではもはや時代遅れになってたのかなあ。バクシはこれ以来長編映画を作ってないし(この映画を製作中にも相当トラブったらしくて、プロデューサーをぶん殴ったとか)、ドン・ブルースとかジョン・クリクファルシといったアニメーターについても最近は話を聞かなくなったし。非ディズニー系の2次元アニメーターには世知辛い世の中になってしまったのかな。

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