「Sita Sings the Blues」鑑賞

アメリカの漫画家ニナ・ペイリーがほぼ独力で作った大傑作アニメーション。インドの叙事詩「ラーマーヤナ」をもとに、恋人に捨てられた女性の悲哀を描いた作品になっている。

インドのラーマ王子は訳あって王国を14年のあいだ追放されることになり、妃のシーターを連れて森のなかに住んでいた。しかしラークシャサ(悪魔)の王ラーヴァナがシーターを気に入り、ラーマが不在のときに彼女を誘拐してしまう。ラーマから放され、嘆き悲しむシーター。そこでラーマは猿の大群を率いてラーヴァナのもとに攻め入り彼を倒し、無事にシーターを奪還して王国へと帰還する。しかしその後すぐにシーターが妊娠したことから彼女の不貞が人々のあいだで噂されるようになり、それを気にしたラーマによってシーターは再び森のなかへと追放されてしまう…というようなお話。

本編はインドの伝統画のスタイルで語られ、それに絡めて1920年代の歌手アネット・ハンショウによるジャズ/ブルースをシーターが歌うフラッシュ調のアニメ、およびインド神話の詳細が影絵人形によって解説されるアニメ、そしてラーマとシーターの話と対をなす現代のカップルを描いたラフ・スケッチ調のアニメと、合計4つ(以上)のスタイルのアニメが入れ替わり用いられていくわけだが、アニメの特性を十分に活かした演出がもう美しいのなんのって。こういうのは3Dアニメではまだまだ出来ないですね。スタイルだけでなく歌に合わせたストーリーテリングも女性の気持ちをうまく描いていて非常に秀逸。

例によって音楽の使用権でモメたあげく、クリエイティブコモンズのもと公式サイトから無料ダウンロードできるようにされたんだが(高画質版もあり)、このたびめでたくDVD発売となったそうな。これはぜひ多くの人に観て欲しい作品。上映会とかも無料で行えるらしいので、誰か日本でも開催してくれないかな。日本語の字幕をつけた偉い方がいるようなので、ぜひご覧あれ:

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