ヴィンチェンゾ・ナタリのやつではないよ。ジム・ヘンソンがマペットたちに専念する前の1969年に作ったTVムービーだそうな。

男性は気がつくと立方形の部屋の中にいた。そこは床も壁も天井も白いタイルで覆われた何もない部屋で、ドアさえも存在しなかった。男性がどうにか部屋から出ようと努力する一方で、外からは部屋のマネージャーと名乗る人物や用務員、ミュージシャン、警官などといった人々が入ってきて男性といろいろ会話をしていき、それにあわせて家具が現れたり消えたりしていく。部屋の外から来た人々は自由に出て行くことができるのだが、男性だけはどうしても外に出ることができない。そして外から来た人の一人がこう告げるのだった。「ここから出るには、あなただけのドアを見つけなさい」と…というのが大まかなプロット。

いわゆる不条理劇的な内容であって話はまったく前に進まず、54分という尺はちょっと長過ぎる気もしなくはないが、部屋を訪れるさまざまな人物とのやりとりとか、それなりに凝った特殊効果を観てるだけでも面白いかと。博士らしき人物がやってきて「あなたはいまTVムービーのなかにいるのです。ほら、このテレビにあなたが映ってるでしょう」なんて言ってテレビを見せるというメタな展開もあったりするぞ。ちょっとゾクっとさせる結末もいいな。

その名もずばり「NBC Experiment in Television」というTVシリーズの1エピソードとして作られた作品らしが、昔はこういう実験的な番組も地上波で流される余裕があったことが伺える。ご存知のようにこのあとジム・ヘンソンは「セサミ・ストリート」や「マペットショー」といった傑作を生み出していったし、こんど続編が製作されるという「ダーク・クリスタル」は俺のとても好きな映画なのですが、もし彼がマペットに関わらなかったらどんな映像作家になってたかな、と思わせてくれる小品であった。ここでぜんぶ観ることができるよ。

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