100 BULLETS vol.8: THE HARD WAY 評


そいでもってもう1冊はブライアン・アザレロ&エデュアルド・リッソのクライム&ミステリー作品「100 BULLETS」第8巻。個人的には現在月刊ベースで発行されているシリーズの中では間違いなく最高のものなんだけど、この巻に収められているストーリーも非常に出来がすばらしく、読んでて背筋がゾクゾクしてくる。 ニューオリンズ(洪水前だよ)を舞台に、様々な登場人物の思惑が交差し、暴力が暴力を呼ぶプロットが陳腐にならないまま展開していき、一方では今までの謎のいくつかが解明されながらも、さらに大きな陰謀の渦へとストーリーが巻き込まれていく流れが実にいい。また過去と現在の出来事が錯綜しながら起きていっているのに、話がまるで複雑にならず読者の興味をかき立て続けるスタイルをとっていることも特筆すべきだろう。

ストーリーもさることながら、アルゼンチン出身のアーティスト、エデュアルド・リッソのアートがまた相変わらず見事で、ニューオリンズの街の雰囲気や登場人物の不穏な内面なんかを完璧に描き出している。

前巻は中規模のストーリーが2つ収録されていたせいで、やや散漫な感じがあったものの、今回は大きなストーリーがガツンと1つあってとても引き締まった内容になっている。最重要人物の一人が意外な死を迎えるラストも衝撃的だ。

やはり現在のアメコミの中では最高のシリーズ。買え。

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