「CATFISH」鑑賞


いまの時点でこの映画について書くことはすべてネタバレになりそうな気がするので、以下は白文字で書きます:

ニューヨークで写真家をやっている青年ヤニフのところに、アビーという6歳の少女が彼の写真をもとにして描いた絵がある日送られてくる。それがきっかけでヤニフとアビーはフェイスブックを通じた交流を行うようになり、さらにアビーの母のアンジェラや姉のミーガンとも仲良くなり、特にミーガンとは遠距離恋愛めいた仲になるヤニフ。彼はアビーの一家との交流を描いたドキュメンタリーを作ろうと、兄たちとともに出来事を撮影していくのだが、ミュージシャンだと自称していたミーガンの曲が他人のものであることに気付く。これで彼女やアンジェラの言うことに疑惑を抱いたヤニフたちは、ミシガンにある彼女たちの家を訪れることにするのだが、そこで彼らを待っていたものは…というようなドキュメンタリー。音楽をディーヴォのマーク・マザーズバーが担当してた。

アートに関するドキュメンタリーっぽく始まって、中盤はサスペンスかホラーか?と思わせときながら、最後はSNSサービス時代の人間関係についてのドラマで終わるという、なかなか一筋縄ではいかない作品だったよ。トレーラーなどではホラーであるかのような宣伝をしてるけど、まったくそういう作品ではないのでご注意を。俺も障害者の兄弟が出てきたあたりでは「悪魔のいけにえ」みたいな展開になるのか?と思って身構えたけどね。

サンダンスでの初公開時から「これは偽ドキュメンタリーではないか?」という疑惑が絶えなかった作品で、いまでも世論は二分されているみたい。確かにヤニフの言動がやたらカメラ慣れしていたり、突発的な海水浴のシーンでもちゃんと防水カメラが用意されてるなど怪しい要素はいくつかあるんだが、個人的にはこれは真っ当なドキュメンタリーだと思う。もし偽のドキュメンタリーだとしたら前述の障害者たちをかつぎ出したことについて製作者たちは相当な社会的制裁を受けることが明らかなわけで、それだけのリスクを冒す意味がないと思うので。

こうした宣伝のギミックや話の真偽にまつわるハイプが大きすぎるので、実際に本編を観たあとはどうしても肩すかしされた感が残るというか、この映画を観たことで得られるものは何なのかというと少し考えてしまう。フェイスブックやGoogleが出てきたことでこういう人間関係も生じるんですよ、ということを描いているという意味ではよく出来た作品なんだけどね。

繰り返すが、この映画のトレーラーはものすごくミスリーディングなものなのでダマされないように…。