「Christopher and His Kind 」鑑賞


11代目ドクター・フーことマット・スミス主演のBBCのTVムービー。ゲイの小説家だったクリストファー・イシャーウッドの自伝を映像化したものらしいが… イシャーウッドって誰だっけ。

舞台となるのは1930年代のベルリン。イギリスの実家の堅苦しい生活を嫌ったクリストファーは、新天地を求めてベルリンへとやって来て、そこでさまざまな人物と出会い、多くの男性と恋に落ちる。英語の教師として糊口をしのぎながら文筆業を続け、ベルリンでの生活を満喫する彼だったが、同性愛者やユダヤ人を迫害するナチスの脅威がやがて迫ってきて…というような話。

前半はクリストファーの男性遍歴が描かれ、当然ながら濃厚なベッドシーンなどもあり。「ドクター・フー」が好きな腐女子にはたまらん光景でしょうか。そして後半は彼の友人がベルリンを去り、ナチスが台頭するさまが描かれている。ただし主人公自身は迫害に遭うわけでもないし、政治活動に走るわけでもなく、時代の移り変わりをただ横で傍観してるだけ。物事が切羽詰まってくると恋人を連れて安全な実家に帰るし、どうも盛り上がりに欠けるんだよな。それなりに製作費をかけた作品なんだろうけど、NHKの歴史ドラマを観てるような、どうも淡々とした印象を受けることは否めない(NHKのドラマでゲイのセックスを観られることはないだろうが)。

主人公がマット・スミスなので、どこかで突然青い電話ボックスが登場するんじゃないかと思いつつも観てしまったけど、それなりの好演はしてますよ。でもやはり彼はクセのある変人を演じたほうが似合うと思うけどね。イシャーウッドの小説に馴染みのある人ならもっと違う感想を抱くかもしれないが、とりあえず個人的にはごく凡庸な作品でありました。