「英国王のスピーチ」鑑賞


遅ればせながら。なんかとても無難な映画だなあという感じ。「事実に基づいた物語」「英国皇室のドラマ」「ハンディキャップに打ち勝つ主人公」といういかにもアカデミー賞向けの題材に、エグいキャンペーンを行うことで知られるワインシュタイン・カンパニーが加わればオスカー映画のいっちょあがり〜といったところか。

世界で最も演技が巧い役者だと思うジェフリー・ラッシュとコリン・ファースのやりとりが面白いことに救われて、彼らの会話シーンが大半という構成にも関わらず中だるみしない出来になっているものの、どうも話の展開にメリハリが無いような?主人公の吃音症のもとになった幼少時のトラウマ的経験についても会話のなかでさらっと説明されるだけだし、戦争を目前にして国民に訴えかける義務をもった彼の決意とか、彼の症状の改善に向けたブレイクスルー的発見みたいなものもあまり描かれていなくて、比較的淡白な内容になっていたような。

特に兄のエドワード8世は後にナチスと組んで王位の奪還を画策したほどの稀代のボンクラであることは周知の事実であるわけで、兄との確執をもっと深く描いても良かったような気がする。また献身的な妻を演じるヘレナ・ボナム=カーターもいい演技をしてるのだけど、我々にとってのクイーン・マザーというのはハイヒールと厚化粧をして130歳くらいまで生きたオバさんというイメージが強いので、頭のなかでそのイメージとボナム=カーターの姿が錯綜してしまったよ。

アカデミー賞を穫ったこと自体は驚かないけど、これが昨年ベストの映画かといったらそうではないわな、といった作品。

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