70年代のブラクスプロイテーション映画の先駆けとなった「スウィート・スウィートバック」こと「SWEET SWEETBACK’S BAADASSSSS SONG」をDVDで観る。主演・製作・監督・編集その他をこなすのはメルヴィン・ヴァン・ピーブルズで、無名時代のアース・ウィンド&ファイアーが音楽をやってるとか。

売春宿に育ったスウィートバックはセックスの腕前を活かして白黒ショーのパフォーマーをしていたが、ひょんなことから警察によるブラックパンサーの活動家のリンチの場に立ち会ってしまう。彼は活動家を救うために警官たちを殴り倒してしまったため、その日から彼の長い逃避行が始まる…。というのが主なプロット。ブラクスプロイテーション映画の常として途中にセックス&バイオレンスがふんだんに盛り込まれているものの、基本的には警察の追跡とスウィートバックの逃避行が延々と描かれている。

かなりの低予算で製作され、X指定映画として公開されたにもかかわらずヒットを記録し、黒人映画が台頭するきっかけを作ったとして伝説になった作品だが、その出来自体ははっきり言ってショボい。かなり突拍子のない映像のモンタージュ(というかツギハギ)や多重露出、音楽の挿入などがクドいくらいに使われているものの、お世辞にもあまり芸術的な使い方とは思えず、経験のない監督が奇をてらってみたらこうなった、といった印象が残る。とりあえずズームとかインポーズとかいろいろ使って「ほら、映画ってこんなことできるんだよ〜」と言ってるような、まるで見せ物を披露してるような感じがするのだ。でもたぶん製作側も意図的に見せ物的な映画にしたんじゃないだろうか。当時の観客が冒頭の白黒ショーでニタニタ笑い、警官が殴られるシーンで歓声をあげ、逃げるスウィートバックを応援してる姿を想像するのは難しくない。音楽にも「頑張れ!スウィートバック!」なんて掛け声が入ってたりする親切設計だし。

ちなみに肝心のスウィートバックは全部で6回しか話さないような無口な奴で、反逆児のヒーローといったイメージはあまりない。子供の頃に童貞を失うシーン(演じるのは息子のマリオ・ヴァン・ピーブルズ)をはじめに、出会った女性とはとりあえず寝て、気持ちよくさせてあげて、代わりに助けてもらうという展開の連続には笑ったけど。

個人的にはあまり本数観てないんで偉そうなこと言えないけど、ブラクスプロイテーション映画って、文字通り「黒人を搾取した」と見るか、逆に「黒人映画を世に広めた」と見るかでえらく評価が違ってくるんじゃないだろうか。この作品も「権力に我慢ならないブラザーとシスターたちにこの映画を捧げる」なんて文句が冒頭に出てきて、「カッコいいなあ」と思う反面、「煽ってるよなあ」と考えたりもしてしまう。この作品の乱雑さは上で述べたが、それを荒削りな魅力としてとらえる人もいるだろう。とりあえず映画としての出来よりも、歴史的な意味で重要な作品かと。

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