MILLIONS

ダニー・ボイル監督の最新作「MILLIONS」を観る。「トレインスポッティング」や「28日後」などのキワモノ的作品も撮っているボイルだが、今回の作品は非常にストレートで心暖まる家族向け映画になっている。

舞台となるのはイギリスのとある住宅地。母親を亡くし、父親とともに引っ越してきたアンソニーとダミアンの幼い兄弟はすぐに新しい家に夢中になる。そしてダミアンは家の裏にある線路の横に段ボールの家をつくり空想にふけるが、ある日突然そこに大金の入ったボストンバッグが降ってくる。親や警察に伝えればお金が没収されてしまうと考えた彼とアンソニーは大金を自分たちで使うことにするのだが、やがて英ポンドがユーロに切り替えられ、彼らのお金が使えなくなる日が近づいてくる…というのが大まかなストーリー。無垢な兄弟(特にダミアン)が大金を手にしたとき、彼らはどのようなことに使っていくのかという光景を、社会風刺などは殆ど絡めずに率直に描いていっている。ダミアンはキリスト教の聖人にやたら詳しいという設定だが特に宗教色が強いわけでもなく、むしろ彼の前に実際に登場する聖人たちが非常に人間くさく、話に笑いを沿えている。

イギリスが通貨をユーロに切り替える事なんてありっこないかもしれないが、そこらへんはまあファンタジー色が強い作品だということで目をつむろう。ただ後半にお金を取り返しにくる人物が出現してきて、サスペンスとファンタジーがごっちゃになる部分は余計な緊迫感があり、あまり楽しめなかった。

大金を突然手にするという内容はボイルのデビュー作「シャロウ・グレイブ」に通じるものがあるが、むしろ幼い子供の目を通して見た大人の世界、という意味では同じフォックス・サーチライトの映画「イン・アメリカ」に似通ったものを感じた。ただ滑稽なCGの使い方や、サウンドトラックとカメラワークの融合などはボイルの従来の作品に似通ったものがあると思う。父親役に傑作「ブラディ・サンデー」のジェームス・ネスビットが出演しているほかは特に有名な役者は出演していないが、「イン・アメリカ」同様に幼い子供たちの演技が非常に見事だった。

傑作というよりは優れた小品といった感じの映画であり、入場料分の満足感を得られるかどうかは人それぞれかもしれないが、個人的には子供の頃にイギリスの学校に通ってたので非常に懐かしい気分にさせられる作品だった。

ちなみにダニー・ボイルの次回作はSFスリラーになるとか。幅の広い監督です。

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