とても丁寧な脚本だなあ、というのが第一印象。アスレチックスの苦境が説明される所から始まり、セイバーメトリクスへの出会いと実践の過程に主人公の過去や私生活の描写が絡み合い、選手たちと親密になるのを避けていた主人公がやがて彼らと親しくなっていくという人間的な成長の様子も描かれ、スポーツの見せ場もちゃんと押さえられているというムダのないストーリー展開。ハリウッドのトップレベルの脚本家2人が関わると、こういう教科書のような脚本が出来上がるのかと納得。

でもまあ逆に話がまとまりすぎていて、ちょっと小ぢんまりとした出来になっている感もなくはない。20連勝がかかった試合での雰囲気とかは大変スリリングなものの、スポーツ映画に特有のカタルシスを与えてくれる作品ではなかったような。金持ちチームとの違いも年俸によって表されるため、いまいち戦力の差などもはっきりせず、「小が大を制す」快感は感じられなかったかな。尤もこれをスポーツ映画として観るべきではなく、ビジネス映画としてとらえるべきなのかもしれませんが。

そしてスクリーンを観ながら何を考えていたかというと「ソダーバーグならどう撮っただろう」ということでして、よく知られた話だがこの映画はもともとスティーブン・スダーバーグが監督する予定だったのが、スタジオの意向によって彼は降板させられたんだよな。選手を本人たちが演じ、セイバーメトリクスがアニメで紹介され、ジョナ・ヒルの代わりにディメトリ・マーティンが起用されていたというソダーバーグ版「マネーボール」がどんな出来になったかは知るよしもないが、この完成版よりももっと冒険的な内容になっていたんじゃないかと思う。

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