フリッツ・ラング監督のサイレント映画「月世界の女」をDVDで鑑賞する。以前に六本木の俳優座で上映してたのを観そびれたので。

このブログで映画について偉そうなことをいろいろ書きこんでるわけだが、俺が今まで観た映画のなかでナンバー1の作品は、実はラングの「メトロポリス」だったりする。色や音がなくても壮大なスケールの物語を見事に描ききったたあの映画はまさしく「失われた芸術」であり、現在の製作者がどんなに金をつぎ込もうともあの雰囲気をだすことは不可能だと思うのだけど、どうだろう。サイレント映画はセリフがない(もしくは少ない)ぶん、内容を頭の中で勝手に補完できるところが魅力ですね。

でも本作は3時間近くあるので(完全版?)、途中でずいぶんダラけるところがあったのは否めない。月ロケットが発射されるまで、1時間半も悪役との押し問答が続くのは何なんだ?
そして内容そのものは意外なくらいにハードSFしている。メリエスの「月世界旅行」みたいなファンタジーかなと思っていたら、ロケットの打ち上げや無重力状態などが(1920年代年当時としては)綿密に描写されているのが興味深い。ちなみにロケットの打ち上げにカウントダウンを用いたのはこの映画が初めてだとか。まあ月面に空気があるのはご愛嬌ということで。
あと当時の作品にしては珍しく(サイレント映画の女性ってみんな美人じゃありません?)ヒロインがあまり魅力的ではないような気がしたけど、ラストにはちょっと感動した。

「メトロポリス」だけでなく「M」や「ニーベルンゲン」といったラングの他の作品に比べれば明らかに劣る映画だけど、当時の科学観などが分かって面白い。一見の価値はある映画かと。

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