「RED TAILS」鑑賞


ジョー・キューバート御大のポスターはかっこいいね。最近引退説がいろいろ出てきてるジョージ・ルーカスが自腹を切って製作した戦争映画。

「タスキーギ・エアメン」の名で知られる、黒人のみで編成されたアメリカ陸軍航空隊第332戦闘機隊の活躍を描いたもので、そこのパイロットたちは優秀な腕を誇っていたものの、軍内部の偏見により前線での活躍の場を与えられず、中古機を与えられてイタリアで後方支援をしていた。しかし幹部たちの上層部へのアピールが認められ、ドイツ軍との初めての空中戦でも成果を出したことから、最新鋭の戦闘機P-51ムスタングを与えられる。そして彼らは機体の尾翼を赤く塗ったことで「レッド・テイルズ」の通称で知られるようになり、ベルリンへの爆撃機の援護にあたるのだった…というようなストーリー。

いちおうクレジット上ではテレンス・ハワードとキューバ・グッディング・Jr.が主役扱いだけど、彼らはお偉いさんの役で地上から戦闘を見守ってるだけで、その部下のパイロットたちの活躍と葛藤に焦点が当てられている。トリスタン・ワイルズやアンドレ・ローヨなど「ザ・ワイヤー」の役者が多く出演してるぞ。

それで内容はとにかくベタ。戦争映画のクリーシェが山ほど出てきて「戦争が終わったらあの娘と結婚するんだ」とかやってくれるほか、やたら説明調なセリフが次々と出てきてちょっとウンザリ。2時間超の尺にいろんな展開を詰め込みずぎて盛り上げに欠けてるというか、TVムービーのダイジェストを観ているような気になってくる。イタリア娘とのロマンスとか捕虜収容所からの脱走とかを削ってでも、もうちょっと1つ1つのシーンを丁寧に描いてもよかったと思うんだけどね。軍のなかで差別されてた黒人たちが空中戦で成果を出したら「お、やるじゃん」と白人に認められてそのまま仲良くなる、というのもさらっと描かれ過ぎてるし。

また見せ場になるドッグファイトのシーンもいまいち迫力がないというか、「デス・スター突入」なみのスリルを求めてはいけません。せいぜい「エピソード1」の空中戦くらいのレベル。監督のアンソニー・ヘミングウェイはこれが初劇場作品とはいえ「ザ・ワイヤー」とか「ギャラクティカ」を手がけてるので臨場感のある演出はもっとできそうなものなんだがなあ。また脚本には「ブーンドックス」の作者であるアーロン・マクグルーダーが関わっていて、彼は「エピソード1」が公開されたときに「ジャー・ジャー・ビンクスは黒人のカリチュアだ!」と文句言ったところ「じゃあお前がやってみい」といった感じでルーカスにこの脚本を託されたらしいが、コミックでは気の利いたセリフを書けても映画ではそうもいかなかったということか?

暗黒面に堕ちたと噂されて久しいものの、個人的にはやはりジョージ・ルーカスって好きだし、彼のこの題材の映画化および公開にかけた熱意はインタビューなどからもひしひしと伝わってくるので、それがこういう凡庸な出来になってしまったのは残念なところですな。いちおう劇場ではそこそこの数字を稼いで、ホームビデオでも健闘してるようなので、この映画の成功(失敗?)をバネにして彼にはもう1本くらい映画を作ってほしいところですが…。

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