「THE FOLLOWING」鑑賞


ケヴィン・ベーコン様がベーコン指数のさらなる拡大のために地上波TVシリーズへ降臨されたのだよ。原案は変態ケヴィン・ウィリアムソン。

若き女性を10人以上も殺害したジョー・キャロル教授が刑務所より脱獄。10年前に彼を逮捕したFBIエージェントのハーディはその際に負ったトラウマのため一線を退いていたが、キャロルを最も良く知る男として現場に復帰することになる。キャロルが殺害しそこねた最後の被害者を中心に捜査を進めていくハーディたちだったが、キャロルは刑務所にいるあいだにそのカリスマ性を活かして数多くの信者を世間に生み出していた。こうして彼のフォロワーたちによるコピーキャット殺人が行われるようになり…というプロット。

地上波番組にしてはずいぶん過激な殺人シーンなどがあるのだが、それ以前にこのネタで何エピソードも引っ張るのは相当厳しいんじゃないのか?キャロル教授よりもそのフォロワーたちによる事件がメインになっていくようなんだけど、あまりにもフォロワーたちがキャロルを盲信しすぎていてリアリティに欠けるんだよな。『男性のフォロワー2人がゲイのふりをして、何年も前から被害者を狙っていた』なんて設定が通ってしまうなら、もう何でもありではないかと。例えばBBCの「ルーサー」みたいに6話ほどのなかで刑事と犯罪者の駆け引きが行われていくのなら緊迫感も最後まで途切れないだろうけど、これで何エピソードも話を続けるのは難しいだろうな。

主人公のハーディは仏頂面で同僚に協力せずに単独行動に走りがちで魅力的とは言い難いし、キャロルも「エドガー・アラン・ポーに憧れ、殺人をアートとして考えている」なんて設定があまりにも典型的というか。ケヴィン・ウィリアムソンは「スクリーム」ではホラー映画の決まり事をうまくパスティーシュにしてたけど、こちらは単に「羊たちの沈黙」の劣化コピーのようにしか思えんのよね。

とはいえケヴィン・ベーコンが主演というのはかなり注目度が高いわけで、それに脚本が見合っていないのはどうも勿体ないな。対するキャロル教授を演じるのはジェームズ・ピュアフォイだが、気のいいオッサンといった感じで凄みはなし。もっと個性的な俳優を使えばよかったのに。あと「Justiied」で薄幸な元妻を演じてたナタリー・ジーがここでも薄幸な元妻を演じてます。

FXとかのケーブル局で13話くらいのシリーズにしてれば、もっと面白くなりそうなんだが…。