『リーグ・オブ・エクストラオーディナリー・ジェントルメン』シリーズ最新作。今回はミナ・ハーカーやアラン・クオーターメインなどは登場せず、「1910」に出てきたキャプテン・ネモの娘ことジャンニ・ダカールが主人公の外伝的な内容になっている。

舞台は1925年。父親の後を継ぎノーチラス号で世界7つの海を駆け巡り、海賊行為を働いていたジャンニはそんな生活を不毛に感じるようになり、父親がかつて試みた南極探検を行うことを決意する。以前にネモが南極を探検した際は、彼以外のクルー全員が怪奇な死を遂げるという結末を迎えていたのだ。父の遺した探検記、および最新の雪上車を揃えた探検は楽なものになるかと思えたが、ジャンニが略奪した宝物の奪還を狙ったチャールズ・フォスター・ケーンによって3人の発明家/探検家が追ってきたために探検は難航することに。追っ手から逃げながら南極の奥地を目指すジャンニたちだったが、そこで彼女たちは想像を絶する光景を目にすることになる…というストーリー。

南極が舞台ということで、ベースの話となるのは「アーサー・ゴードン・ピムの物語」「氷のスフィンクス」「狂気の山脈にて」あたりの小説。ジャンニと一緒に冒険をするクルーはお馴染みのイシュマエルやブロード・アロー・ジャックのほか、思考機械ことヴァン・ドゥーゼン教授など。彼らを追う3人の発明家は、20世紀初頭の冒険小説の主人公たちであるらしい。あとは当然ながら「テケリ・リ!」と叫ぶ怪物や古のものどもが出てきます。人のいない秘境が舞台ということもあり、他の作品からの抜粋は比較的少ないほうかな。

「ムーンチャイルドの到来」という重いテーマが影を落としていた「Volume III」と違い、純粋な冒険活劇として読める作品。最新鋭のマシンを操って追いかけてくる敵からの逃避行はスリルがあって面白いぞ。狂気山脈に着いてからの展開はちょっと先が読めなくもないが、それでも巧みなストーリーテリングは流石である。

アラン・ムーアとケヴィン・オニールは今後もこのような「リーグ」の外伝を出していく予定らしいが、次は誰が主人公でどの時代を舞台にするのだろう。個人的には「Black Dossier」で言及されていた、フランスやドイツの「リーグ」との戦いが読んでみたいところです。

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