ビデオ屋へ行く

家に掃除の人が来るということで朝早くに家を出て、近くのカフェでコーヒーを飲んだ後ダウンタウンに向かう。スパダイナ通りになかなかカルトな品揃えのビデオレンタル店があるので、会員になる。ラルフ・バクシのアニメとか「アルジェの戦い」とか「ウィズネイルと僕」とか、とにかく日本ではまずお目にかかれない作品がゴロゴロしている店なのだ。当然ながら「柳生一族の陰謀」とかも置いてあったりする。とりあえず日本で見逃した「アメリカン・スプレンダー」とイギリスの人気TVシリーズ「ドクター・フー」のDVDを借りてきた。

その後は近くのチャイナタウンのスーパーマーケットに言ってみる。入った途端に得体のしれない匂いが漂ってくる店なのだが、エビとかがえらく安い。ロブスターとかも生きたまま売られていたりして、品々を見てるだけでもなかなか楽しい。品名が中国語なので何なのかよく分からないことと、殆どが量り売りされているので安いんだか高いんだか分からないことが欠点か。「出前一丁」のエスニック版なども売ってた。

帰宅後は早速「ドクター・フー」を観る。一番有名な4代目ドクターではなく、俺が子供の頃観てた5代目のエピソード。今になって見返すとセットはチャチだし、役者はヘタだし、特殊効果もえらくショボいのだが、子供の頃は興奮しながら観てたんだよなあ。ドクターの仲間の少年が宿敵サイバーメンと戦って爆死するラストはとても衝撃的だった覚えがあるのだが、見返したらやっぱりショボかった。まあいい。

夜はまたフォックスチャンネルの「HOUSE」を観る。ヒュー・ローリー演じる主人公が笑えるくらいにイヤミな奴で面白い。あの毒々しさが理解できるかどうかが評価の分かれ目になるだろう。

END OF THE CENTURY エンド・オブ・ザ・センチュリー

唯一無二のバンド、ラモーンズのドキュメンタリー。構成自体はかなり典型的で、関係者のコメントを交えながらバンドの結成から解散までを淡々と紹介していく形式になっている。しかしラモーンズという伝説的なバンドの内面深くにまで光を当てていることや、貴重な映像が見られるだけでも一見に値するだろう。しかもラモーンズが影響を与えたミュージシャンへのインタビューが多数あり、彼らが初めてロンドンへ来たときのことを語るジョー・ストラマーのコメントなどはとても貴重だと思う。個人的にはキャプテン・センシブルやジェイン(ウェイン)・カウンティなどが出てきたのが面白かったかな。

初期の映像は白黒ばかりなのだけど、それなりに味のある映像になっているのが不思議。ライブの最中に次に何の曲を演奏するかでケンカしている姿には笑った。80年代になってMTV世代にウケようと作った変なミュージック・クリップとかには幻滅したが。とにかくレコードが期待したほど売れなかったのがずっとネックになっていたらしく、90年代に彼らが影響を与えたバンド(グランジ系とか)の人気が出てきたから、今度はやっと売れるかなと思ったらダメだった、というのが解散の一因になっているのが何とも皮肉である。

意外だったのはバンド末期になっても南米ではスタジアムを満員にできるほどの人気を誇っていたことで、乗り込んだ車がビートルズみたいに無数のファン(女の子とかではなくてストリートチルドレン)に追いかけられている映像も出てきたりする。バンド初期のころイギリスの将来に失望した(NO FUTURE)若者たちに支持されたように、南米の貧しい子供たちにラモーンズは希望を与えているんだ、というコメントが印象的だ。

この他にもジョーイとジョニーの確執とか、ディー・ディーの鬱憤とか、フィル・スペクターの話とかがいろいろ出てくるのだけど、とにかく70年代のNYパンクが好きな人にとっては必見の作品じゃないでしょうか。逆にそこらへんの音楽事情にウトい人にはつまらないだろうけど。あと文句を言わせてもらえば、他の作品(「Blank Generation」や「ルード・ボーイ」とか)から転用したバンドの映像が多かったことか。ちょっとつぎはぎだらけの作品を見ているような気になってしまった。まあ当時の映像記録は少ないから仕方ないんだけどね。ワンツースリーフォー。

End Of The Century

近所の映画館へ「End Of The Century: The Story Of The Ramones」を観に行く。タイトルからも分かるようにラモーンズの伝記映画である。役者がそれなりにきちんとセリフを発声するフィクションと違って、ドキュメンタリーはコメントする人がモゴモゴ喋ってる場合が多く、字幕がないと結構理解に苦しむ場合があるのだけど、今回もそんなものだった。特に低い声で話すジョニー・ラモーンと、グチをたれまくるボケた老人のごときディー・ディー・ラモーンが何言ってんのか分からなくなることがあったのが痛い。

クリスマスパレード

ダウンタウンでクリスマスのパレードがあるということで出かけてみる。ダウンタウンを斜めに横断するような形でフロートや鼓笛隊、仮装した子供たちが延々と練り歩き、最後にサンタが登場するという形式のパレードだった。パレードの出し物はやけに多く、全部が通過するのに30分以上はかかったんじゃないだろうか。クリスマス・シーズンに突入するということで11月にパレードをするらしいが、12月だったら寒くてやってらんないというのもあるんだろう。このパレードに限った話ではないが、トロントにはとても子供が多いような気がする。でも大家さんの話ではカナダ人の出生率は下がっており、人口が増えているのは移民の子供のおかげだという。日本も出生率の低下が問題になって久しいが、移民をもっと受け入れないと将来ろくなことにならないんじゃないか。

ノー・マンズ・ランド

日本でDVDをリッピングしていた映画「ノー・マンズ・ランド」をやっと観る。コメディかと思ったらラストはとても後味の悪い映画だった。それなりにいい出来なんだけど、アカデミー賞をとるほどのものだろうか。ずっとパソコンの画面を見てたらさらに頭が痛くなる。