「オー! ラッキーマン」鑑賞

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「If もしも….」に続いてリンゼイ・アンダーソンとマルコム・マクダウェルがコンビを組んだカルト的作品「オー! ラッキーマン」を観た。マクダウェルが演じる主人公の名前は「If もしも….」と同じマイケル・トラヴィスだが、続編というわけではない。

あの当時のイギリス映画独特の、真っ黒けっけなユーモアがぎっしり詰められていて非常に楽しい作品。コーヒー豆のセールスマンとしてイギリス北部に派遣された主人公が、下宿の女将に誘惑されたり、軍につかまって拷問されたり、病院で人体実験をされかけたりとシュールかつ無茶苦茶な目にあいつつ世の中の摂理を理解していく、というのが主なストーリー。同時にイギリスの警察や裁判官や金持ちの実の姿を痛烈に風刺した内容になっている。3時間近い長尺だが、話の展開が異様に早いので観てて飽きることがない。元アニマルズのアラン・プライスが狂言回しとして随所に登場し、歌を披露するのも話にいいテンポを与えている。

これはマクダウェルが「時計じかけのオレンジ」のすぐあとに出演した作品らしいが、この頃の彼の雰囲気って凄いですね。ハンサムでもないし愛嬌があるわけでもないんだけど妙に人をひきつけるところがあって、「オレンジ」のアレックス同様に利己的に振る舞っても全然嫌みがなく、何やっても許されるような無垢な感じがするというか何というか。逆に後半で愚直なモラリストになると急に言動が空回りするのも面白い。あとの出演者は若かりし頃のヘレン・ミレンが出ているほか、複数の役を演じている役者が多いのが特徴的。最後にはリンゼイ・アンダーソン本人が出てきて、マイケルをこの映画に起用するというメタなことになってしまう!こういう映画はもう作られんだろうなあ。

ちなみにウィキペディアのこの映画のページには、「グラント・モリソンの作風に影響を与えた」みたいなことが書かれてるけど、そうかぁ?あまりモリソンっぽさは感じなかったけどね。

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