「ミストレス・アメリカ」鑑賞

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ノア・バームバックの新作。もう一方の新作「ヤング・アダルト・ニューヨーク」は日本でも劇場公開されるのに、こっちはVODスルーだってさ。なんだこの差は。

ニューヨークのバーナード大学に入学したトレーシーは大学生活に馴染めず、人気のある文芸サークルへの入部も認められずに悶々とした日々を送っていた。そこで母親が再婚する予定の相手の娘であるブルックに連絡して二人は出会うことに。ニューヨーカーらしく奔放な生き方をしているブルックにトレーシーはすぐに憧れるが、ブルックが開店する予定だったレストランへの出資がうまく集まらず、ブルックはコネチカットに住む裕福な元カレとその妻を頼ることにする。そしてトレーシーの元カレとそのガールフレンドが運転する車に乗って、4人はコネチカットに向かうが…というあらすじ。

前半はニューヨークでの思春期ドラマっぽくて、後半はコネチカットの家でのドタバタ劇みたいになって、若干話の整合性がとれていないかな。とはいえコネチカットでの会話劇はウディ・アレンっぽくって面白かった。若い女の子や監督の恋人がキャスティングされてるのもアレンっぽいというのかな。大人数でのドタバタ劇ってバームバックの作品にしては珍しいが、彼って「マダガスカル3」の脚本とかも書いてるので意外とこういうのは得意なのかもしれない。才能があると思って憧れてた人物が実はそうでもなかった、という展開はハル・ハートリーの「ヘンリー・フール」を連想しました。

ブルックを演じるのがグレタ・ガーウィグで、「フランシス・ハ」以上に周囲の空気が読めずに自分の目標に突っ込んでいく女性を演じてます。そしてトレーシーを演じるローラ・カークって「ゴーン・ガール」で憎ったらしいモーテル女を演じた女優か。雰囲気が全く違うんで気付かなかった。あと音楽を「イカとクジラ」以来久しぶりにディーン・ウェアハムとブリッタ・フィリップスが担当しているが、なぜかOMDとかTOTOなどの懐メロばかりが使用されてたな。ウェアハムはコネチカットの隣人役として出演もしてて、意外といい感じじゃないの。

バームバックとガーウィグによる脚本はセリフがやたら多くて、トレーシーの小説のナレーションとかいらなかったんじゃないかと思うし、全体的にこなれてない感じもするものの、勢いがあるぶん「ヤング・アダルト・ニューヨーク」よりも楽しめたかな。せめて日本でもDVDくらい出てくれればねぇ。