「THE CARRIE DIARIES」鑑賞


暴走する超能力を持った少女キャリーが、日々受ける虐待について恨みを込めて日記に記していく物語…などでは当然なく、邦訳もあるキャンディス ブシュネルの小説を原作にした「セックス・アンド・ザ・シティ」の前日譚で、放送局はHBOではなくティーン大好きのThe CW。

舞台は80年代のロードアイランド。高校生のキャリーは母親を亡くしたばかりの少女で、父親と妹とともに新しい生活に慣れようとしていた。学校ではイカした転校生といい関係になるものの、恋人にまで発展できずやきもきするばかり。そんな彼女を励まそうと、父親は彼女をニューヨークでインターンとして働かせることに。こうして憧れのニューヨークに行けることになったキャリーは、刺激的な人たちと出会ってナウいシティライフの世界へ足を踏み入れるのでした…というプロット。

80年代の世界ということもあり、「SATC」よりもジョン・ヒューズの映画を観てるような気になってくる番組。ホームセンターで売ってるベスト盤のごとくニュー・オーダーやサイケデリック・ファーズをはじめとした80年代の曲が背後で流れまくってるのですが、そこまで80年代を強調しなくてもねえ。番組の対象年齢層は40代とかじゃなく、いまのティーンエイジャーだよね?なお地元の高校生活の描写は、普通のThe CW的なものといった感じ。トレンディな主人公よりもゴスな妹のほうに共感できるのは言うまでもない。

主人公のキャリーを演じるのは「ソウル・サーファー」のアナソフィア・ロブ。名前からしてThe CWっぽいよな。彼女がニューヨークで出会う「インタビュー」誌の編集者を「ドクター・フー」のマーサことフリーマ・アジマンが演じているのが個人的にはいちばんの注目点でして、彼女はこれをきっかけにアメリカでもブレイクしてほしいところです。

日記がテーマの番組の常として、主人公のナレーションが延々と続くのはちょっと興醒め。まあ自分のような視聴者を対象にしている番組でないことは承知してるのですが。とはいえ「SATC」のようなシリーズを期待してると肩すかしをくらうと思う。批評家の評判はぼちぼちだったようだけど、どれだけの視聴率を稼ぐことができるかな。