昨年のアカデミー賞にもノミネートされたドキュメンタリー。

こないだウガンダでは同性愛を犯罪とみなし、終身刑の厳罰に処することができる法案が署名されて国際的な批判を受けたわけだが、その思想の根源はアフリカでなくアメリカのキリスト教右派にあるとする内容。世界各国に宣教師を送り込みキリスト教の教えを伝道しようとする団体「International House of Prayer」(通称IHOP。日本にも支部があるようだけど日本語の団体名が分からなかった)は、イディ・アミンが失脚したのちに混沌状態にあったウガンダに目を付け、アフリカでの伝道の拠点とするために宣教師たちを送り込むようになる。彼らは住民のために献身的に活動する一方で、同性愛や婚前のセックスは悪だとするキリスト教保守の考えを持ち込み、やがてウガンダの政治家たちも感化されていく…というような話。

IHOPの宣教師たちは目つきや話し方がちょっとヤバい感じがするのですが、彼らの目的は単なる布教だけでなく、もっとパワーゲームめいたものであることが劇中では示唆されている。クリントン政権のときはコンドームの使用についてアメリカから補助を受け、エイズの減少に役だっていたのだが、ブッシュ政権時には「禁欲主義を推奨しなければ経済援助は行なわない」と脅され、コンドームの代わりに禁欲主義を推奨したところエイズが再び増加したのだとか。

またウガンダのキリスト教の牧師がアメリカにちょくちょく足を運び、(おそらく資金援助を受けて)かなり豪勢な家に住んでいることも描かれていた。その一方では同性愛者の権利を保護したためにウガンダを追放された牧師が登場し、同性愛者への深刻な迫害についての説明がされている。

ただ全体的にはIHOPの宣教師たちの姿をダラダラ映しているだけで、85分という短い尺ながらも冗長に感じられるところが多かったかな。もうちょっとチャートやグラフィックなどを加えて、IHOPの問題点などを追求すればよかったのに。人権活動家のデービッド・カトが殺害されたことについても、あまり深くは語っていないんだよね。

国連やオバマ政権がウガンダの同性愛者への迫害に対して懸念を表明している一方で、アメリカのキリスト教右派は着実に自分たちの考えをアフリカで広めており、ここらへんは西部開拓時代におけるマニフェスト・デスティニーを連想せずにはいられない。なおウガンダは若い世代がかなり多いらしく、そこでIHOPの教えを受けた若者たちが、やがてアフリカの他の国でも思想を広めていくことになるのだろうか。

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