「THE NEVERS」鑑賞

HBO (MAX) の新作シリーズ。クリエイターがジョス・ウィードンで第1話の監督も彼なのだが、まあご存知の通りここ最近はハラスメント疑惑でウィードンはいろいろ叩かれてまして、ショウランナーとしては降板することになったそうな。宣伝でもメイキング映像でもウィードンへの言及は無くなってるみたい。起訴されてるわけでもないのに、最近のウィードン叩きはちょっと行きすぎてる気がするのだが、どうなんでしょうね。

舞台は19世紀末、ヴィクトリア朝のロンドン。数年前から特殊な能力を身につけた人々が出現するようになり、彼らは「Touched(触れられた)」人々として大衆の不安の対象となっていた。資産家のビドロウ女史は彼らを保護するための孤児院を作り、彼女のもとでアマリア・トゥルーやペナンス・アデアーといった女性たちが新たなTouched探しを行なっていた。その一方では狂信的なTouchedであるマラディーが連続殺人を繰り広げており、さらにはTouchedを誘拐する謎の勢力が暗躍していた…というあらすじ。

そもそもなぜ一部の人たちが特殊な能力を身につけることになったのか?というオリジン話は劇中で紹介されていて、あれはあれで面白くなりそうな伏線ではある。男女ともに能力を得ているのだが劇中のTouchedは女性のほうが圧倒的に多くて、闘う少女、というのはウィードンの「バッフィー」っぽいなと。さらに言うとスーパーパワーを持ったチームが偏見に苦しみながら同胞のために戦うさまは、「アベンジャーズ」よりも「Xメン」によく似ているな。彼らのリーダーであるビドロウ女史が車椅子に乗っているのはまんまプロフェッサーXだし、彼らを狩る一味もヘルファイア・クラブによく似ている。おれウィードンがマーベルで執筆した一連の「Xメン」は好きなのでちょっと期待。

Touchedの人々が持つ能力は「Turn」と呼ばれ、例えばアマリアはケンカと酒に強いのに加えて未来を幻視する能力を持っており、ペナンスは天才的な発明家。あとは炎を自在に操ったり、他人の傷を治癒したりと多種多様。巨大な少女なんてのもいるぞ。これはXメンだとフォージの能力だよね、これはパイロであっちはカリストかな、とか勝手に脳内変換して観るのもオツかと。なお劇中では「Nevers」という言葉は一切出てきません。

出演はアマリア役にローラ・ドネリー、ペナンス役にアン・スケリー、って知らんなあ…。知ってるところではオリヴィア・ウィリアムズ、ジェームズ・ノートン、そしてニック・フロストなんかが出ています。役者の大半がイギリス人やアイルランド人というのが「ゲーム・オブ・スローンズ」っぽいかも。

70分以上ある第1話は長尺ながらいろいろ詰め込みすぎで、特に悪役の伏線が張られすぎだろという印象は受けたものの、こういうスチームパンクの冒険活劇って好きなので頑張って欲しいところです。ジョス・ウィードンの評判がどれだけ影響してくるかは微妙だが、第1話の視聴数は高かったそうなので第2シーズンも作られるかな?

「MADE FOR LOVE」鑑賞

HBO MAXの新作シリーズ。同名の小説を原作にしたものだとか。

超巨大なIT企業のゴゴル(Gogol)社のCEOであるバイロンと結婚したヘイゼルは、荒野のなかに建てられた巨大な施設の中に住み、外界から断絶された生活を10年間過ごしていた。しかしバイロンがパートナー同士の頭脳に電子チップを埋め込み、お互いの感情を共有できるようにする新サービス「Made For Love」を発表したとき、夫の思想に恐怖を覚えた彼女は施設からの脱出を試みて成功する。だがヘイゼルの知らぬ間にチップがすでに彼女の頭に埋め込まれており、彼女の見聞きすることはバイロンに筒抜けだったのだ…というあらすじ。

プロットはSFスリラーっぽいけど内容はコメディ寄りで、夫の支配から逃れようとするヘイゼルのドタバタが描かれている。ヘイゼルとバイロンの駆け引きに加えて、愛とはなんぞや、というのがテーマになってくるのかな?日本でも公開が決まった「パーム・スプリングス」のクリスティン・ミリオッティが主演ということもあり、女性が現状からどうにか抜け出そうと奮闘する光景はあの映画によく似ているな。

ヘイゼルの父親で、ダッチワイフと暮らす奇妙なオッサンを演じるのがレイ・ロマーノ。バイロン役にビリー・マグヌッセン。あとはバイロンの手下役としてダン・バケダールなんかが出てます。

ストーリーがどういうオチに辿り着くのかよく分からないけど、1話30分ということもあり展開が早いのでサクサク観られる作品。とりあえず今後もチェックしてみます。

「RESIDENT ALIEN」鑑賞

SYFYチャンネルの新シリーズで、ピーター・ホーガン&スティーブ・パークハウスによるダークホース・コミックスの同名コミックを原作にしたもの。スティーブ・パークハウスってアラン・ムーアの「The Bojeffries Saga」のアーティストだった人か。原作読んだことないので(というか知らなかった)のでコミックにどのくらい忠実なのかはわかりません。

舞台はコロラドの山奥にある小さな町。湖畔の家に隠居している元医師のハリー・ヴァンダースピーゲルはごく普通の男性のように見えるが、実は彼の正体は宇宙人で、乗っていた宇宙船が落雷で地球に不時着したことからハリーの姿に偽装して宇宙船の積荷を探していたのだった。その一方では町の医者が不審死を遂げてしまい、ほかに医者がいないということで市長に無理やり頼まれてハリーは町の新しい医者を勤めることになり、さらに前任者の謎の死の調査を依頼される。こうして地球の文化を十分に理解しないまま町の住人と交流する羽目になったハリーだが、彼の偽装を見抜ける能力を持った少年が町にいて…というあらすじ。

題名の「RESIDENT ALIEN」とは米国法における外国人の「米国居住者」を指すもので、これに「宇宙人(エイリアン)」を引っ掛けてるのですが、こんどのバイデン政権は外国人の呼称に「ALIEN」を使うのを控えるようで…というのはどうでもいい話ですね。

主人公のハリーは決して友好的な宇宙人ではなくて、地球人の知性なんてトカゲ以下だと馬鹿にしているし、そもそもヴァンダースピーゲル医師を殺害して彼の姿を乗っ取ったような奴。それでも地球人に紛れ込むためにテレビ(当然SYFYのグループ会社のNBCだ)を観て言語を勉強したり、ヴァンダースピーゲルの助手だったアスタという女性を助けたりと、ちょっとは地球人に優しくなっていくさまが描かれている。

主役のハリーを演じるのが、最近はディズニー映画の声優という印象が強いアラン・テュディック。地球の言語や文化に不慣れな役ということで演技に制限がかけられてる気がするけど、個人的に彼の役で好きなのは「42」のレイシスト監督だったりするので、彼の仏頂面の演技も悪くはないですよ。あと今後はリンダ・ハミルトンが登場するみたい。

クリエイターがシットコム畑のクリス・シェリダンであるせいか、1時間番組にしてはコメディ色が強いかな。町の医師の不審死の謎とかハリーの宇宙船の積荷といったプロットがこれからどう展開されるのか、もうちょっと明らかにされても良かったと思うけど。小さな町のSFコメディということで「ユーリカ 地図にない街」に雰囲気が似ているかな。ああいう往年のSYFYチャンネルのドラマが好きな人は楽しめるかもしれない。

「Revolution Of The Daleks」鑑賞

「ドクター・フー」の新年特番だよ。前回のシリーズ12が終わったのが3月あたまだから、ほぼ10ヶ月ぶりの新エピソード。シリーズ12はキャプテン・ジャック・ハークネスが突然再登場したり、謎のドクターが現れたりと面白くなりそうな展開がそこそこあったものの、結局はうやむやになってしまった覚えが。シリーズ最後にはドクターが突然逮捕されて宇宙の監獄に送られた…なんて10ヶ月前のことだから覚えてなかったよ!

そんなクリフハンガーも、冒頭にキャプテン・ジャックがやってきてドクターを救出することで一件落着。そんなんでは逮捕された意味がないような。一方地球では以前に破壊されたダーレクの残骸を載せたトレーラーが大企業によって盗まれ、ダーレクの技術を活かした警備ドローンに改造される。それを計画したのがクリス・ノス演じるビジネスマンで、彼って2年前の特番にも登場してたらしいのだが覚えてない…。彼はその警備ドローンをイギリス政府に売り込むのだが、ダーレクをコントロールできると過信して、あとでしっぺ返しを食らう展開って以前に何回もあっただろ!イギリス政府はいいかげん過去から学ぶべき。

それでもって当然のことながら死んだはずのダーレクが蘇って仲間を増やして反旗を翻すのだが、そのときに仲間をクローンで増やしてた工場は大阪にあるという設定。別に大阪で撮影をしたわけではないようだけど、どうも大阪人は金さえもらえればどういうことが工場で行われてるのかは気にしないらしい(しかもそのあとヒドい目に遭う)。

あとはまあドクターとジャックの活躍によって地球は救われるわけだが、ちゃっかり政府の無能っぷりが描かれて総理大臣がダーレクに粛清されるあたりが「ドクター・フー」っぽいのかな。これがクリスマス特番だったら雪を降らせたりサンタを出したりで旬な雰囲気を出せたかもしれないが、今回はどうも過去のエピソードの焼き直しという感が否めなかったよ。いまのショウランナーのクリス・チブナルって番組をこうしたい、というビジョンがどうも感じられないのよな。

なお今回をもって3人のコンパニオンのうちグレアムとライアンの男性二人が降板。義理の祖父と孫という関係が面白かったのだけどね。残ったヤズについてはドクターに対して百合の感情を持っていることが突然示唆されて、今後の展開はどうなるのか?

なおシリーズ13はコロナウィルスの影響でエピソード数が少なくなるそうで、製作が完了したらすぐ放送されるそうなのだけど、新たなコンパニオンになるらしいコメディアンのジョン・ビショップってこないだコロナ陽性になったそうで、製作に影響がないか心配なのですが。また新エピソードまで10ヶ月も待つのはイヤだぞ。

「MANGROVE」鑑賞

前作「WIDOWS」が日本では変な邦題をつけられてDVDスルーの憂き目にあったスティーブ・マックイーンだが、なんと映画を5本撮ってBBCで毎週放送するという企画を立ち上げてしまった。ボブ・マーリーの歌詞から名をつけた「SMALL AXE」というアンソロジー・シリーズで、シリーズとはいえ70分から120分くらいのイギリスにおける人種問題をテーマにした映画が撮られ、1つはフィクションであとの4つは実際の出来事をテーマにしたものらしい。

そしてその一本目がこの「MANGROVE」。マングローブ・ナインと呼ばれる黒人9人の法廷での闘いを題材にしたものらしいが、そんな事件があったなんて全く知らなかったよ。

舞台は60年代後半のロンドンはノッティング・ヒル。トリニダード生まれの黒人フランク・クリクロウは西インド諸島料理のレストラン「マングローブ」を開店し黒人コミュニティの憩いの場になるが、黒人を快く思わない警察によって住民たちは嫌がらせを受け、マングローブも何度も立ち入り検査を強制されて物品が破壊される。これに怒った住民たちはプラカードを掲げて警察署へデモ行進するが、事態はエスカレートして警察官との抗争が生じてフランクたちは逮捕されてしまう。そして自分たちの正当性を証明するために彼らは法廷でも闘うことを決意するのだが…というあらすじ。

前半は警察の横暴に苦しむ住民たちが描かれ、後半は法廷ドラマになっているが話の盛り上げ方が上手いので124分という尺でも中だるみせずに観ていられる。法と闘う主人公、という点ではマックイーンのデビュー作「HUNGER」に近いものがあるかな。逮捕された9人のうち何人かは自分で弁護をすることを選び(ここらへんイギリスの法制度がよく分からんのだが)、自らの言葉で警察の横暴を糾弾し正義を訴えるところが格好いいのよ。裁判の結果は当然歴史に刻まれているわけだが、何も知らずに観た方が面白いかもしれない。

フランク・クリクロウを演じるのはショーン・パークス…って知らない役者だなぁ。出てる作品はいろいろ目にしてるはずだが。「ブラック・パンサー」のレティーシャ・ライトがブラックパンサー党員としてフランクと一緒に逮捕される女性を演じている。なおもう一人逮捕された方の女性の息子は、いまアイランド・レコードの社長なんだそうな。あとは彼らの弁護士をジャック・ロウデンが演じてます。音楽をミカ・レヴィが担当してるのだけどレゲエのスタンダード・ナンバーがよく流れるのであまり目立たなかったっす。

この「SMALL AXE」、今後はジョン・ボイエガが主役を務めるエピソードなどもあるそうで、なかなか面白そう。イギリス外ではアマゾンが配信するらしいけど、日本でもやるのかね?