「ファンタスティック・フォー」鑑賞

Fantastic-Four-2015-Poster
ご存知の通り本国では酷評されて興行的にも惨敗した作品であり、そんなにツマらないのかと恐る恐る観にいったわけですが、観賞中に席を蹴って帰りたくなるような内容ではなかった。とはいえ面白いのかと聞かれるとやはりツマらないと言わざるを得ないのですが。

脚本はリー&カービーのものでなくマーク・ミラーによるアルティメイト版のオリジン話を比較的忠実にフォローしていて、この映画と前後してミラーがフォックスのコンサルタントに就任したことを考えると必然的なことだったのかも。改善の余地はいくらでもありそうな脚本だが、そこまで悪いというわけではない。

問題はやはり演出面で、とにかく各所における「溜め」がないのだ。だから人を殴るシーンもすごくあっけないし、決めゼリフを言うところもカッコ良さがなくて、全体的にとてもメリハリが無い作品になってしまっている。まるで監督が自分の撮ったものに自身がなくて、とっとと次のシーンに行きたがっているような印象を受けてしまったよ。

公開されなかったロジャー・コーマン版のFFだって、(予算の関係で)作中ずーっと炎上しなかったヒューマン・トーチが最後にやっと炎につつまれて飛行するところは爽快感があったじゃん?この作品にはそれが欠けているのだ。個人的にアメコミ映画の映像化の1つの頂点はサム・ライミの「スパイダーマン」だと思ってるのですが、あれくらいベタな演出をやってくれたってバチはあたらなかっただろうに。

監督のジョッシュ・トランクは前作「クロニクル」のほうが、ファウンドフッテージの型式をとりながらも、もっと臨場感のある映像が撮れていたと思うけどね。フォックスが内容に満足せず撮り直しを命じたのは有名な話だし、予告編にあって本編にないシーンが結構あることを考えると、未公開映像が多分にあることが推定されるが、監督の思い通りのバージョンが出来たとしてもあまり出来映えは変わらなかったんじゃないかな。

役者もマイルズ・テラーがセリフを棒読み気味で、「セッション」で見せた迫真の演技はどこへ行ったのという感じ。リーダーとしてのペップトークが全然元気良く聞こえないのだもの。まあこれは前述のように演出面に負うところが大きいのかもしれませんが。逆にいまいち頼りない男性陣を管轄するお姉さん役としてのスー(および彼女のお父さん)は良かったな。

この映画の失敗を受けて、「FFはマーベルに返せ!」という意見も強いようだけど、何でもかんでもマーベルの映画ユニバースに含めれば良いというものでもないでしょ。続編製作の意向はあるようだし、キャストはまだしも監督を変えることによって、心機一転して優れた作品が作られることに期待します。

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