「ブレイキング・グラス」再鑑賞

1980年の映画「BREAKING GLASS」を18年ぶりくらいに観る。パンク/ニューウェーブ系のバンドの成功と没落を描いた映画で、当時そうした音楽にハマり始めていた15歳くらいの自分にとっては大きく影響を受けた作品だったのであります。

バンドのボーカル役を演じるのはヘイゼル・オコナー(知ってる?そういう歌手がいるんすよ)で、彼女とともにバンドを築いていくマネージャー役にフィル・ダニエルズ。彼が「さらば青春の光」の直後に出た作品なので、「モッズを辞めたあとのジミー」として見てみるのも面白いかもしれない。あのころの彼は本当に細かった。他にもジョナサン・プライスが出てたり、撮影がスティーブン・ゴールドブラットでサントラのプロデューサーがトニー・ヴィスコンティと、今になって見てみると結構豪華なスタッフが揃っていたりする。おまけにプロデューサーはドディ・アルファイド君だぞ。

パブでの演奏から地道に成り上がってきたバンドが、成功を手にしたことで酔いしれて当初の志を失っていき、レコード会社からの重圧などによって内紛が絶えなくなり、やがて崩壊していくというストーリーが今となってはとっても陳腐なものに思えるし、ヘイゼル・オコナーの演技が大根であるうえに「1984年は人間が機械に支配されてしまうのよ!」みたいな彼女のセリフがやたら青臭く感じられることも否めない。また当時の流行を反映してバンドがパンクからニューウェーブ(ニューロマンティック?)風になるにつれ、外見がどんどんダサくなっていくことも事実である。

しかし俺はこの映画が嫌いになれないんだよなあ。話が女性マンガ的というかメロドラマ的であることは以前に観たときから十分に理解してたが、それでも俺の青春の1ページ的な作品なのですよ。話の展開を意外と細部まで覚えてたということは、やはり最初に観たときの衝撃が大きかったんだろうな。人種差別反対のデモに参加したらネオナチに襲撃されるシーンとか、80年代初頭のイギリスの若者文化をリアルタイムで描いている点はもっと評価されてもいいんじゃないかと。日本でもずっと前にビデオが発売されてたらしいので、DVDが出てくれないかな。

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