「トゥルー・グリット」鑑賞


やはりコーエン兄弟はコメディでなく真面目な作品を撮ったほうがずっと面白いことを再確認。この時代にこの映画をリメークする意義はよく分からんが、変なギミックも無いストレートなウェスタンで大変楽しめたのでありますよ。「ノーカントリー」のように無慈悲で暗いシーンを描きつつ、会話のあちこちにドライなユーモアを混ぜる手腕も円熟さが感じられますね。父親を亡くして復讐の旅に出た娘が、やがて老保安官のなかに父親像を見いだす過程もさりげなく描かれていて巧いなあと。

演出だけでなく役者の演技もみな素晴らしく、特にジェフ・ブリッジスは「クレイジー・ハート」なんかよりもずっといい演技だったんじゃないの。腹の底から捻り出すような声での演技が実に渋い。話の要となるヘイリー・スタインフェルドも非常に良い。難点があるとすれば親の仇であるジョシュ・ブローリンの役が意外とヘタレであることか。バリー・ペッパー演じる悪役のほうが凄みがあったような。

これだけの作品なのに東京でも公開館が少ないのが惜しい。ウェスタン好きな人には観ることをおすすめします。

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