ヴェルナー・ヘルツォークが3D映画を作った!ということで話題になった作品。でも俺が観に行った映画館では2D上映だったよ。

フランスのショーヴェ洞窟を扱ったドキュメンタリーで、そこで発見された3万年以上前の壁画についての解説がずっと行われていく。落盤により入り口が長い間封鎖されていた洞窟のはるか奥の壁に浮かび上がる壁画の数々はどれもが神秘的で、現代人が見ても一目で馬や牛などが分かるその画力には感嘆を禁じえない。動物の動きを表すために8本の足が描かれた絵があるとか、特定の個人の手形が洞窟のあちこちに見受けられるとか、絵によっては5000年の間をおいて描かれてるものもあるとか、近年の調査によって明らかになった驚異の事実がいろいろ語られていく。それとこの洞窟に対するさまざま研究の成果や、保存に対する取り組みなどの解説もされるんだが、一般客向けに公開してるわけでもないのに様々な技術を導入して調査をしているフランス政府は偉いよな。

ただし従来のヘルツォークの優れたドキュメンタリーでは、「グリズリー・マン」のように大いなる自然とそれに対する人間の対比が効果的に描かれていたのに比べ、今回は人間が不在というか遠い昔にいなくなってしまっているため、ちょっと話の盛り上がりに欠けるところがあるかな。よってテレビの科学番組のようなノリになってしまっているところもあり、ついウトウトしてしまったよ。でも洞窟を調査する現代の科学者にはユニークな人もいて、もともとサーカスの大道芸人だったけど科学にあこがれて科学者になったなんて人が出てきたのは面白かったな。

あと3Dの効果については何も言えないが、洞窟の中の撮影は機材が最小限に限られていたため映像がお世辞にも奇麗とは言い難く、どれだけ3Dでとった意味があったんだろう?むしろ洞窟の外の光景をリモコン式の小型飛行機(ヘリ?)で撮ったショットのほうが印象的だった。

そして個人的にギョッとしたのが、映画の終盤にポストスクリプトとして語られる話で、洞窟のすぐ近くには原子力発電所が建っていて、そこでは発電所からの温水によりワニの飼育所があるという件。3万年前には氷河で覆われていたところに、いまでは熱帯の動物が棲むようになっているというオチなんだが、むしろ原発に深刻な事故が起きたら3万年どころか10万年も洞窟がまた立ち入れない場所になるんじゃないかと心配してしまった。放射能とはたぶん関係ないんだろうが、アルビノのワニが飼われていたのもちょっと不気味だったな。

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