gal_pic05.jpg

タイトルから分かるように、70年代のSFシリーズ「宇宙空母ギャラクティカ」のリメイク作品(製作側は「リイマジネーション作品」と呼んでいる)。2003年にミニ・シリーズとして復活を果たし、その奥の深いテーマや緊迫感に満ちたプロットがSFファンの間で大きな話題になった。第1シーズンの放送は出資の関係でイギリスの方が早かったため、ネット上では大量の映像ファイルが北米へ「輸出」されたほどの人気を誇る。一時期はブライアン・シンガーによるリメイクの話もあったらしいが、このシリーズで総指揮を務めるのは「スタートレック:ディープ・スペース・ナイン」などのライターであったロナルド・D・ムーア。勝ち目のない戦いをしている人々の描写は、後期の「DS9」にちょっと似ていなくもない。

ストーリーは12の惑星に植民地を設けて暮らしていた人類が、ある日突然に彼らの造り出したロボットである「サイロン」たちによる核攻撃を受け、絶滅寸前の状態に陥ってしまう。そしてわずか5万人となった人類の生き残りたちは宇宙空母ギャラクティカに導かれながら、サイロンの追跡を逃れて伝説の惑星「地球」にたどり着くため、長く苦しい旅に出発するのだった…というもの。おおまかなストーリーはオリジナル・シリーズとあまり変わっていないらしいが、人間そっくりのサイロンが登場したりするなど(自分がサイロンだと自覚していないものもいる)、細かい変更が加えられているようだ。特にメイン・キャラクター2人が男性から女性になったのはファンの間でかなりの議論になったとか。

製作側の話によると、このシリーズは9/11テロをモデルに「大惨事を経験した人々」の描写をテーマにしているらしいが、確かに話は非常に重く、暗いものになっている。人々はサイロンに追われ続ける日々を過ごし、周囲の人間が隠れサイロンではないかと疑心暗鬼になっているのだ。ここには「スタートレック」に出てくるような明るい未来の姿は微塵もない。どのエピソードにもスリル満点のアクション・シーンがあるものの(特に戦闘機のドッグファイトの特撮は見事)、あくまでも人間ドラマに重きをおき、希望が打ち砕かれる寸前にいる人々の姿をリアルに描いたことが絶大な人気につながったのだろう。また多神教を信仰する人類に対し、唯一神の概念を持ち、謎めいたプランにしたがって行動するサイロンたちがストーリーに奥行きをあたえている。

主人公のアダマ艦長を演じるのは「ブレードランナー」などで有名なエドワード・ジェームス・オルモス。トレードマークの口ひげを剃り落し、従来のどちらかといえば陽気なイメージをかなぐり捨て、厳格で孤独な艦長の役を見事に演じ切っている。そして人類の生き残りの代表である大統領を演じるのは「ドニー・ダーコ」のメアリー・マクドネル。末期ガンに冒されていることをひた隠しにしながら、人類を導こうとする薄幸の女性である(この人はこんな役ばっか)。バンクーバーで撮影されていることもあり、他の出演者はカナダ人がずいぶん多いようだ。

とにかく話が暗いとはいえ、一度見ればその緻密さとリアルさが病みつきになるシリーズだが、個人的にはサイロンが強すぎるのが少し気に入らないかもしれない。ギャラクティカに隠れサイロンが何名も潜伏しているうえ、超自然的といえるくらいの能力を持っているのだが、人類を「観察」するという目的のために絶滅させていない(らしい)というのは、ギャラクティカが孤軍奮闘している意味がないかと。あと現在どのドラマでも大流行の「グラグラビジョン」(カメラがとにかく揺れる)を使ってリアルさを出そうとしてるのは分かるのだが、あれはちょっと揺れ過ぎでしょう。でもシリーズの圧倒的な出来に比べれば些細な不満である。

ちなみに第1シーズンの北米での放送開始と「スタートレック:エンタープライズ」の放送打ち切り決定はほぼ同時期に行われたのだが、「スタートレック」が不人気になり、「宇宙空母ギャラクティカ」の人気が再燃するなんて数年前には誰も予想できなかっただろう。

なおイギリス版と北米版はオープニングの曲が違っている。女性ボーカルを使ったイギリス版の方がずっとカッコいい。

Trackback

no comment untill now

Add your comment now