映画四本

出張帰りの飛行機のなかでは映画を4つ観たのだよ:

「ガリバー旅行記」
ジャック・ブラックは嫌いじゃないんだけどね。こういう凡作でありきたりな役ばかり演じてるとそろそろ飽きられるんじゃないかと。意中の人がアマンダ・ピートだってのもいいかげん無理があるよな。せっかく脇役にクリス・オダウドとかキャサリン・テイトとか使ってんのにこの出来とは勿体ない。特に後者は殆どセリフがなかったような。あとジェイソン・シーゲルはもうちょっと痩せたほうがいいと思う。

「ファースター 怒りの銃弾」
むかし銀行強盗をしたあとに襲撃され、兄を殺され金を奪われたザ・ロック様が、出所後に自分を襲撃した連中に復讐していくアクション。でも主人公はあまり復讐心に燃えてなくて困惑した顔で人を殺してるし、復讐される側もみんな「あーついにこの時がきたかー。」といった感じで半ば諦めてて、まっとうなバトルは展開されない。というか主人公、刺し殺したはずの相手が蘇生したので病院まで行ってさらに撃ち殺すというのはなんか情けないぞ。これに定年間近の警部とか動機不明の殺し屋とかが加わり、伏線もないまま腹の立つような展開が待つラストを迎えていた。何も観る価値がない駄作。

「ナルニア国物語/第3章」
おれ小中学生のときに原作を全部読んだはずなのだけど、この話の内容は完全に忘れてしまっていたよ。マイケル・アプテッドが監督してるのに子供たちよりもCGにばかり焦点が当てられてしまっているのが残念。キリスト教徒をターゲットにした映画なので、アスランが話したりするたびに「これはキリストのどういうアレゴリーなんだ?」と変に穿った見方をしてしまった。

「デビルクエスト」
ニコラス・ケイジがまた女性に暴力を振るう映画。こないだDV容疑で逮捕されたことを考えるとあまり笑えんな。中世の騎士が魔女を檻に入れて運ぶだけの内容で、照明は単調だしCGはゲームなみだし何もいいところなし。こんなの日本で劇場公開するんだったら他にもっといい映画が山ほどあるだろうに!ケイジはもう真面目な映画に出ない方がいいんじゃないだろか。

半ば寝ながらでも話を追っていける映画ばかり選んだら、結局のところダメ映画ばかりになってしまった。こんなんだったら「ブルー・バレンタイン」でも観とけばよかったな。

映画三本

いま出張でアメリカに来てるわけですが、行きの飛行機の中で観た映画の感想をざっと:

「THE MECHANIC」
オリジナルは未見。なんかものすごく平凡なアクション映画。ジェイソン・ステイサムってもっと幅の広い演技ができる人なんじゃないかと思うんだけどね。殺し屋がボンクラを弟子として育てるんだけど、ボンクラはやはりボンクラでしかなかった、というような話。殺し屋の主人公が毒殺を好むのがカッコ悪いといえばカッコ悪いな。

「THE COMPANY MEN」
これって監督はジョン・ウェルズだったのか。長年勤めた会社をクビになった男たちの悲哀を描いているのはいいんだけど、いままでゴルフ三昧だったブルジョアが職を失って肉体労働をするようになり、素朴にお金を稼ぐことの喜びを知る、というような演出はちょっとクサい。人がどんどんクビになっていく一方で企業のトップが金持ちになっていく状況への言及とかはあるものの、社会批判の色が薄いのが個人的には残念。あとクリス・クーパーのキャラクターの扱いが尻切れトンボになってない?

「NEXT THREE DAYS」
殺人の容疑で収監されてしまった奥さんを救うため、夫がYouTubeでテクニックを学んで彼女の脱獄を試みるという話。どうも行き当たりばったりの展開が多く、偽パスポートを用意する男のキャラがやたら立ってるのにすぐ消えてしまったり、脱獄を入念に計画してるようで夫は意外と力技に頼るし、そもそもそんな計画を立てるヒマがあったら、奥さんが無罪であることを頑張って証明するのが先じゃないのか?ウジウジ悩む主人公に無骨なラッセル・クロウはミスキャストだよな。ポール・ハギスの映画ってどれも主人公がウジウジ悩んでるような気がする。

「THE SHADOW LINE」鑑賞


暗い刑事ドラマばかり作ってる感のあるBBCからの、さらなる暗い刑事ドラマ。出演者はキウェテル・イジョフォーにクリストファー・エクレストン、スティーブン・レイとやけに豪華だったりする。

車の中で男性の射殺体が発見された。その男は名の知れた麻薬王で長い刑期を務めていたのだが、謎の理由により王室の恩赦を受けて最近釈放されていたのだった。この事件を担当することになった刑事のジョナは数ヶ月前に何者かによって狙撃され、パートナーを失っただけでなく頭の中に銃弾が残るという大怪我から回復したばかりだった。警察が捜査を進める一方で、麻薬王の部下であったジョセフも、血気盛んな麻薬王の甥をなだめつつも彼の死の真相を探ろうとする。はたして麻薬王を殺したのは誰か?ジョナとジョセフにはどんな運命が待ち受けているのか…というような話。

警察と犯罪者の両方が殺人事件を調査するというプロットは面白いし、冒頭の死体が発見されるシーンの演出なんかも良く出来ている。自分の記憶に疑惑を抱くジョナとか、妻がアルツハイマーだと診断されたジョセフ、血で血を洗うギャング社会の姿などもうまく描けているかな。

ただし話を謎めいたものにしすぎて、全体的に説明不足になっている気もする。人物関係が分かりにくいところもあるし、ジョナの襲撃事件と今回の殺人事件に関係があるのかも不明。第1話にはスティーブン・レイが出てこなくて、彼がどんな役を演じるのかも分からない。次の話を観たいと思わせるような引っかけがもうちょっと必要なんじゃないかと。

傑作になりそうな可能性は十分あるので、時間があったら第2話も観て、その後も見続けるか判断しようかな。

「EXILE」鑑賞


BBCの全3話のミニ・シリーズで、主演は「ライフ・オン・マーズ」のジョン・シムとジム・ブロードベント。

性格に難がありロンドンでの職を失ったジャーナリストのトムは、10数年ぶりに地方の実家へと帰ってくる。そこには同じくジャーナリストだった父親と妹が暮らしていたが、父親はアルツハイマーにより息子の顔も分からない状態で、彼の面倒を妹が長年見ていたのだった。トムには10代のときに父親が保管していたファイルを覗き見たことで彼にひどく殴られ、それがきっかけで家を飛び出したという過去があり、いったいそのファイルには何が隠されていたのか彼は探ろうとする。しかしそれによって地元の有力者にまつわる大きな陰謀が明らかになっていき、さらにトムは自分に関わる秘密を知ることになる…というようなスリラー。

いかにもイギリス的な、どんより曇った天気の下でどんより話が進んでいく作品で、観終わったあともあまりカタルシスのようなものは得られなかったりする。陰謀の謎解きもちょっと都合のいい展開が続いたりして、例えば精神病院にまつわる謎がでてきたときに、トムの彼女の母親がそこで長らく働いていたことが判明して彼女から手がかりを得たりするのはちょっと安直なんじゃないかなあと。事件の黒幕との対決も結構あっけなかったし。

あとはシムとブロードベントの演技に期待するしかないのだが、前者は酒ばっか飲んでるし、後者はアルツハイマーという役柄のため他人とのかけ合いが皆無でちょっと肩すかし。「トロピック・サンダー」の「Never go full retard!」ってのはこういうことかと実感しましたよ。むしろ父親の面倒を見ることで青春時代をすべて無駄にした妹の演技の方が悲哀が出ていて良かったな。

全体の作り自体は手堅いので観ていて飽きるような作品ではないし、視聴者の評判も良いようなのだけど、人気俳優を2人起用し、アルツハイマーという題材を扱っていながらも比較的平凡な内容になってしまったのが残念。

「BODY OF PROOF」鑑賞


こないだ始まったABCの医療ドラマ。

ミーガン・ハントは世界的な神経学者であったが、交通事故に遭ったことで手に障害が残り、医師として現場で活動することができなくなってしまう。そこで彼女は検死官となり、殺人事件の被害者の遺体からさまざまな手がかりを見つけ出し、事件を解明していくのだった…というような話。主演はダナ・デラニーで、「ザ・ワイヤー」のソニア・ソーンとかセブン・オブ・ナインことジェリ・ライアンなんかも出てるぞ。

主人公が無愛想なんだけど天才的な医者という設定は「ハウス」そのまんま。体に障害があるというのも似てるな。でもこちらの主人公は疎遠になった娘とよりを戻そうとしてたりして、ちょっとウェットなところもあったりする。あとは「CSI」とか「クロッシング・ジョーダン」あたりの検死ドラマと似たり寄ったりで、目新しい所は何もなし。警察はマヌケな推理ばかりを繰り返して主人公の引き立て役になっているし、怪しそうな人物が実は犯人ではなかったという展開がCM3回分くらい繰り返されて最後に意外な犯人が逮捕されて終わり、というパターンは以前に何百回と見せられたぞ。こういうお決まりの展開が好きな人もいるのは承知してますけどね、俺の好きなドラマではないな。

55歳のオバさん(でも異様に若く見える。ジェリ・ライアンのほうが老けて見えるくらい)を主人公に持ってきたことは讃えるが、個人的にはどうでもいいや、といった感じの番組。