サミュエル・フラーの代表作(だよな?)である「最前線物語」を鑑賞。最近は158分の長尺版が出たらしいけど、今回観たのは従来の113分バージョン。
「大きな赤の1番」こと第1歩兵師団の第二次世界大戦における姿が、いくつもの小話として描かれていく作品で、全体的な統一感にこそ欠けるものの、フラーの経験に基づいた戦闘描写が非常に細かく凝っていて見応えがある。なかでも迫力があるのはやはりノルマンディー上陸の戦闘で、鉄条網を破るために兵士たちが順番通りに爆弾筒を抱えて進もうとするものの、ちょっと進むたびに狙撃されてバタバタ倒れていくさまは、あまりにも人が死ぬのでまるでドリフのコントか何かを観てるような気になってしまう。波打ち際の死体の腕時計(どんどん血まみれになっていく)によって上陸作戦が長引いていることを伝えるという演出もなかなか巧いね。
出演者には「帝国の逆襲」に出たばかりのマーク・ハミルなどもいるけど、やはり1人で映画を食ってしまっているのがベテラン軍曹を演じるリー・マーヴィン。敵の裏をかいてドイツ軍兵士をナイフでサクサク刺し殺していく一方で、強制収容所にいた子供を気遣うなどといった、奥の深いキャラクターを寡黙にうまく演じきっている。
ちなみに作品を通じて部下たちが軍曹に軽口を叩きまくってるんだけど、これは現実でもそうだったんだろうな。日本軍だったら即座に上司に処刑されてそうなものですが。