やっと観た。
いろんなところでこれをコメディと呼んでいるのを目にするけど、コメディじゃねえよなあ。どうにもならない陰気な状況において、いかに人々が「痛い」行動をとるかをきちんと描ききっているだけだろう。ジェフ・ダニエルズ演じる父親なんて実にリアリスティックにサイテーだし、じゃあ逆にローラ・リニーの母親はちゃんとしてるかというとそうでもなくて、次々に若い男とつきあってるばかりだし。脇役ながらウィリアム・ボールドウィン演じるテニスのコーチも実にサイテーでいい感じ。ローラ・リニーは薄幸な役柄が本当に身に付いてきましたね。あの甘ったるいラブコメ「ラブ・アクチュアリー」でも唯一恋が成就できないキャラだったのは伊達じゃないな。
両親に翻弄される2人の子供たちの振る舞いも実にリアル。離婚とまではいかなくても、親のケンカを2階で聞いてたような経験は誰にでもあるよね。高校でピンク・フロイドとかにハマって、「ブルー・ベルベット」を親の前で観て気まずい思いをするなんてとても他人事とは思えない。崩壊家庭において気が変になっていく弟の描写も見事。痛々しいけど。
気になった点を挙げるとすれば、ハンドカメラによる揺れ気味のカメラワークが邪魔だったかな。特に前半。変に臨場感を出す必要はないんだから、もっとどっしり構えて撮ればいいのに。あとアンナ・パキンの顔がティム・ロビンズに見えたのは俺だけでしょうか。