ここ数年はクリスマスに「ドクター・フー」を観て、正月に「SHERLOCK」を観るのが恒例になったな…と思いきやシリーズ3の放送ってもう3年前か。前シリーズは結構グデグデな終わりかたをして、時空を乱したメタな展開の「忌まわしき花嫁」は番外編的な扱いになっていたが、今回はシーズン第1話ということもあってか比較的「通常の」エピソードっぽくなっている。とはいえ大きな展開が起きる内容になっており、それについて言及せずに感想を述べることはできないので、以下はネタバレ注意。
いいですね?
マグヌセンの射殺とモリアーティの復活というクリフハンガーで幕を閉じた前シリーズだが、前者は政府の力でウヤムヤにされ、後者は「生前に撮影したメッセージだろ」とさっさと片付けられてしまう!まあ後者はさすがに後への伏線になってるでしょうが。よって無罪放免になったシャーロックはベイカー街に戻って以前にも増して難事件の推理に精を出し、ワトソンとメアリーのあいだにも子供が生まれて皆が大忙し。そんなところにレストレードが持ち込んだ事件を手がけたシャーロックは、事件の依頼人の部屋にあったマーガレット・サッチャーの胸像が何者かによって破壊されたことに興味を抱く。そして同様の事件が起きていることを知った彼は、やがてそれが彼の知人に密接につながっていることを発見するのだった…というあらすじ。
エピソード名は「The Six Thatchers」で、名の通りコナン・ドイルの原作の「6つのナポレオン像」をベースにしている。あとは「四つの署名」や「黄色い顔」あたりの引用がちらほら。脚本はマーク・ゲイティスでスティーブン・モファットが手がけてないせいか、変に話が入り組んだりせず、意外と原作に忠実に話が進んで行く。ナポレオン像を追ううちにシャーロックが発見したものが話の展開を大きく変えるわけだが、推理ものというよりは政治サスペンスの色合いが強かったかな。コードネームなんていくらでも都合のいいものを付けられるしねぇ。
そして登場人物の一人の運命が大きく変わることになりまして、これもまた一応原作どおり(明記はされていないが強く示唆されている)のでまあ驚くほどではなかった。しかしその一方では(以下白文字)マーティン・フリーマンとアマンダ・アビントンが破局したという、出演者の私生活に直結している内容だったので、なんか観た後にモヤモヤしたものを感じてしまったよ。脚本の執筆には関係なかったと思うんだけどね。あの登場人物の正体については1つの噂があったのだけど、結局は誤りだったのかなあ。
全体としては悪い出来ではなかったけど、3年(1年?)も待たされたことによる過度な期待に沿うものではなかったかな。主演二人が多忙になりすぎたことで、これが最後のシーズンになるかもしれないという噂もありますが、あと残る2話でモリアーティの伏線もきっちり回収して、満足のいく終わりかたをしてくれることを望みます。